CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)は5月16日、大阪・枚方にある京阪電車枚方市駅前に「枚方T-SITE」をオープンしました。もともとは、近鉄百貨店枚方店があった場所だそうです。T-SITEといえば代官山と湘南にありますが、関西では初進出となります。
半径2km圏内の地元住民がターゲット
発表会では最初に、CCC株式会社の代表取締役社長である増田宗昭氏が登壇。増田氏は、最近はあまり記者発表などでメディアの前には出ないそうですが、今回は蔦屋書店創業の地にT-SITEがオープンすることから、自らが枚方T-SITEのコンセプトなどを説明しました。
CCCの事業は、フラットフォームの構築、ライフスタイルの提案、Tカードで蓄積されたデータベースの活用が3つの柱であるとのこと。
蔦屋書店が枚方市駅前に開業したのは1983年。場所は枚方T-SITEの近くにあるビルで、現在はその場所の餃子の王将があります。
創業時に事業計画の資料にも「新しい生活スタイルの情報を提供する拠点」という文言が記されており、CCCが目指すところは30年以上前から変わっていないことを強調しました。
枚方にT-SITEをオープンしたのは創業の地だからという理由だけではありません。京阪本線が走っている京阪枚方市駅は、京橋、淀屋橋に次ぐ第3位の乗降者数で、1日あたり9.8万人が利用している場所であることが説明されました。
枚方T-SITEが建っている場所は近鉄百貨店の跡地で、駅の利用者は多いにもかかわらず「この場所での商業施設の運営は、これまでうまくいっていなかった」と増田氏。
そこでCCCがターゲットとして考えているのは半径2km以内の地元住民。地域により密着した商業施設として運営していくそうです。なお、T-SITEの半径5km以内でTカードを所持して実際に使っているの住人は全体の65.7%、提携店舗は165店舗というデータを示し、Tカードに蓄積されたデータを活用して顧客の囲い込みを図る狙いもあるようです。
ターゲットとする客層は、通勤、通学で利用する人や子育て世代のほか、シニア層を重視しているとのこと。個人資産の年代別内訳では、60歳以上が全体の3分の2の資産を保有しているデータを提示し、こういった層にも受け入れられるようにT-SITE内にはすわってゆっくりと本を読んだり、飲食したりできるスペースが数多く用意されています。「通勤、通学に駅を利用する人は朝7時からパンやコーヒーを購入できる。さまざまなカフェやレストランもあり、昼間は子育て世代やシニア層が子供や孫と一緒に楽しめる空間を提供するとのこと。
枚方T-SITEの6Fと7Fに三菱東京UFJ銀行とりそな銀行が入っていることについては、「毎日来たくなる百貨店を目指し、日常生活で必要な施設として銀行に入ってもらった」と増田氏。銀行に行くついで、ATMで現金を下ろすついでにT-SITEを利用してもらう狙いもあるようです。もちろん、銀行の外観もT-SITEにマッチしています。
スマホアプリでデータベースとリアル店舗を融合
枚方T-SITEのオープンに合わせて、iOS/Android向けのスマホアプリも用意されます。T-SITE周辺の駐車場の空き状況をリアルタイムでチェックできる機能などが搭載されています。
なお、周辺の駐車場の空き状況については、フロアの柱に埋め込まれた液晶パネルでもチェックできるようになっていました。
T-SITE内の蔦屋書店でレンタルもしくは販売している商品の在庫をスマホアプリでチェックする機能も備わっています。まずは蔦屋書店の在庫のみですが、将来的には枚方T-SITE内のほかのショップの在庫も確認できるようにする計画とのこと。
続いて、CCC取締役CIOであり、トーンモバイル株式会社の代表取締役社長を務める石田宏樹氏が登壇して、スマホアプリのサービスについて詳しく紹介しました。
モバイルアプリを活用したこのサービスは、枚方T-SITEで先行試験サービスがスタートし、その後は代官山や湘南などの既存のT-SITEにも導入されるそうです。
スマホアプリでは、商品在庫のチェックだけでなく、ユーザーのレビューなどをチェックできる機能があり、レンタル、もしくは購入する映画などの評判を事前に調べることもできます。映画レビューについては、Filmarksというサービスと連携しています。
さらに、Tマネーによる決済やTポイントの付与までの機能をこのスマホアプリに集約するとのこと。T-SITEの8Fにあるレストランの予約にもこのアプリを使えます。
そのほか蓄積されたデータベースを活用したクーポンやお得情報の配信、店内の商品のバーコードを読み取ることでさまざまな情報を調べられるインターフェースなども提供されます。
TONEモバイルはガラケーユーザーがターゲット
石田氏からは、社長を務めるTONEモバイルのスマホ事業についても説明がありました。TONEモバイル端末に乗り換えるユーザーが過半数がガラケー(フューチャーフォン)のユーザーであり、代官山T-SITEや二子玉川の蔦屋家電では、大手キャリアの端末への乗り換えに比べて2〜3倍の規模になっているとのことでした。iPhoneからの乗り換えユーザーについても59%が乗り換えに満足しているというアンケート結果もありました。
TONEモバイル端末の利用者の年齢分布を見ると、意外にも40代が44%とトップシェアになっています。40代が親のために購入するケースもあることから、実際はシニア層のユーザーが多いようです。
TONEモバイル端末の強みとして、通常のAndroidのホーム画面だけでなく、子供向け、シニア向けなどのカスタマイズされたホーム画面にすぐに切り替えられる点を紹介されました。購入後に所有者がおじいさん、おばあさんから孫に引き継がれても、画面を切り替えるだけでキッズスマホとして利用できるわけです。
また、端末を箱に置くだけでトラブル箇所を遠隔操作で自動修正してくれるのも、ほかにはない機能です。寄せられるトラブルの多くはネットに繋がらなくなったなどの軽微なものが多く、実際にはフライトモードの解除など簡単な操作で問題を解決できるのですが、そもそも何が問題がわからない利用者も多く、この機能がかなり重宝されているそうです。ほとんどのトラブルは置くだけで解決し、そのあとで電話や店頭でのサポートとなるので、サポートコストの低減にもつながっているようです。
TONEモバイル端末では、1日8000歩もしくは20分程度の早歩きでTポイントが1ポイント付与されるというサービスも実施中です。
なお、TONEモバイル端末は近々大規模なファームウェアアップデートを予定しており、新機能が追加されることも発表されました。
代官山と湘南を融合したような枚方T-SITE
T-SITEは、代官山と湘南がすでに営業中です。代官山やT-SITE1号店で、東急東横線の代官山駅徒歩5分ほどの立地です。場所が場所だけに、地元住民のための施設というよりも、東京都内や横浜方面からも訪れる人が多い印象です。一方の湘南は、JR藤沢駅からバスで6分、JR本鵠沼駅から徒歩で15分とアクセスがいいといえない立地で、こちらは地元住民向けの商業施設という傾向を強く感じます。では、枚方T-SITEはどういう立地なのでしょうか。
枚方市駅前には「ひらかたサンプラザ」などの商業施設がありますが、枚方T-SITEとは対照的な昭和な印象の建物です。
枚方市駅は、大阪駅からだと大阪環状線で京橋まで行ってそこから京阪電車に乗れば30分程度。京都駅からは近鉄丹波橋駅まで行き、京阪丹波橋駅に移動して京阪電車でやはり30分程度です。
枚方T-SITEは大きな窓が設置されている特徴的な建物で、窓の中には2フロアぶち抜きで設置された本棚に書籍などがディスプレーされています。
ビル側面の1Fにはウッドデッキのテラス席も設置されています。枚方T-SITEに入っている飲食店は朝7時からオープンしているところも多く、通勤や通学の前にコーヒーやパンを飲食するという生活スタイルも提案しています。
ビルの裏側にも入り口はありますが、こちらは主に搬入口です。
ビルの裏側の大通りに近い場所には、機械式の自転車駐輪場が用意されています。こちらは、60分までは無料、3時間までは200円、6時間までは300円、9時間までは400円、24時間で500円という料金体系です。
半径2kmの地元住民を強く意識した枚方T-SITE。Tカードのデータベース活用で、どれだけの客を呼び込めるか期待したいところですね、なお、夏にはB1Fに大規模なフードマーケットがオープンする予定です。
(2016.05.17 09:30追記)Tポイント1ポイントが付与されるのは、1日8000歩、もしくは1日の活動量20分を超えた場合です。お詫びして訂正いたします。