Windowsもインストール不要で即起動
今回はイーゲルさんに面白い映像も見せてもらえました。vThrii導入済みの50台程度のiMacでWindowsを一斉に起動させるというテスト。もちろん、iMac側にはWindowsはインストールされておらず、Boot Camp環境も構築されていません。OS Xと同様に、配信サーバーからブートイメージファイルをダウンロード後、Windowsの起動処理を実行してデスクトップ画面を表示するという映像です。映像では、個体差はあるものの2分程度ですべてのマシンがイメージファイルのダウンロードとWindowsの起動を終えていました。通常は台数ごとに1時間以上かかるWindowsのインストール作業は一切不要で、サーバーからイメージファイルを送り込むだけでWindowsが使えるというわけです。イーゲルによると、1台のサーバーで100台程度のクライアントマシンの一斉スタートが可能とのことでした。
ここで気になるのが配信サーバー用のマシンのスペックなのですが、ハードウェア仕様はそれほど高スペックである必要ないそうです。クライアントマシンの初回起動を高速化させるには、イメージファイルを読み出すストレージとそれを送り込むネットワーク環境が高速であればよく、CPUなどがそれほど強力でなくてもパフォーマンスは大幅に低下しないとのこと。
ちなみに、取材時のデモマシンはブートマネージャーとして「rEFInd」が使われており、OS XとWindowsを切り替えて利用できるようになっていました。もちろん、rEFIndだけでなく「rEFIt」などのほかのブートマネージャーも動きます。さらに、rEFInd などのブートマネージャーで選択するのではなく、サーバ側からOS を指定して起動させることも可能です。実際にOS Xが稼働中のマシンを遠隔操作で再起動し、Ubuntu(Linux)を立ち上げるデモを見せてもらいました。この場合はブートマネージャーをスキップさせられるので、ユーザー側からするとハイパーバイザー型の仮想マシン環境が構築されていることすら気付きませんね。
ブートイメージをサーバーからダウンロードして起動する点はNetBootに似ていますが、NetBootと違うのはその起動時間の短さとサーバー側で起動OSを選べる点ですね。「別のOSを間違って起動してしまった」といったマルチブート環境で起こりがちな問題も回避できます。東大の運用とは異なりますが、午前中の講義はWindows、午後の講義はOS X(Mac)を使うといった場合でも、1台のサーバーから指示を出すことで100台程度のMacのOSを短時間で切り替えられるわけです。
vThriiはOSより下層のハードウェアのすぐ上のUEFI(Unified Extensible Firmware Interface)上で稼働する仮想環境ですが、果たしてMacにどうやってインストールするのか疑問ですよね。イーゲルによると、vThriiのインストーラーが入っているUSBメモリーからインストールできるほか、NetBoot環境が整っていればネットワークインストールも可能とのことでした。大規模な運用にも向いていますね。