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「Watsonもデータがなければ何もできない」ハイブリッド環境対応とOSS採用の加速

“Open for Data”を掲げるIBM、データ活用/分析製品を拡充

2016年05月12日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 日本IBMは5月11日、プライベート/パブリッククラウドの両方に対応するデータサービスの拡充や「IBM DB2」新版などを発表した。発表会では、データ活用/分析基盤に対する同社のビジョン「Open for Data」について説明を行った。

発表会に出席した、日本IBM 執行役員 IBMアナリティクス事業部長 三浦美穂氏

日本IBM IBMアナリティクス事業部 セールスエンジニア 田中裕一氏

SQL/NoSQL、オンプレミス/クラウドの障壁をなくす製品/サービス拡充

 オンプレミス/パブリッククラウドの両方で同じデータサービスが利用できる環境を目指し、今回は多数の新製品/サービスが発表されている。

図中の黄色い文字が新製品/サービス。ハイブリッドクラウド環境下で同じデータ製品/サービスが利用できるよう拡充を続けている

 まずSQLデータベース(DB)領域では、IBM DB2の最新版(IBM DB2 11)と、フルマネージドのクラウドサービスであるトランザクション型DB「IBM dashDB Transactional」がリリースされた。

 DB2では、他社製DBやHadoopにあるデータへも透過的にアクセスできるフェデレーション機能を標準装備したほか、BLU Acceleration機能を超並列処理(MPP)アーキテクチャに導入してパフォーマンスを向上している。また、オンプレミス/クラウドのライセンス体系を共通化したエディションを提供する。また高いパフォーマンスのトランザクション型DBであるdashDB Transactionalは、従来から提供するDWHの「dashDB」と同じコンソールからテーブルやデータが操作可能だ。

 NoSQLデータストア領域では、IBMが昨年買収したComposeが提供していたオープンソースソフトウェア(OSS)ベースのサービスを基に、Webアプリ/モバイルアプリ開発者向けのDBaaS(DB-as-a-Service)である「Compose Enterprise」を提供開始している。具体的にはIBM Bluemix PaaS上で、「MongoDB」「Redis」「Elasticsearch」「PostgreSQL」などのOSSデータサービスが提供されている。

 SQL/NoSQL環境の間でデータ変換を行うETL領域では、オンプレミスで実績のあるETLツールをクラウドで提供する「DataStage on Cloud」が発表されている。

 なお、クラウド型データ分析環境サービスである「IBM Cloud Data Service(CDS)」において、このほかにも人/モノ同士の関係をグラフ構造で表す「IBM Graph(ベータ版)」、あらかじめ用意された顧客行動や機器故障などの予測モデルをAPI経由で利用できる「IBM Predictive Analytics」、TwitterやWeather Companyなどが提供する150を超えるデータセットが入手可能なマーケットプレイス「IBM Analytics Exchange(ベータ版)」の各サービスも追加されている。

IBMのデータサービス環境全体像。価値のあるデータを売買できる「Analytics Exchange」(下段)もベータ提供を開始

「Open for Data」を掲げるIBMは何に対して“オープン”なのか

 日本IBM 執行役員 IBMアナリティクス事業部長の三浦美穂氏は、現在の企業では、これまで活用できていない「ダークデータ」を活用し、価値を生み出していく取り組みが求められていると紹介。加えて、たとえば同社が推進するコグニティブコンピューティングの取り組みにおいても、構造化/非構造化データを収集/分析できるデータ基盤が重要な役割を担うと説明した。

 「Watsonも、基本となるデータがなければ学習や(人間に対する)サジェスチョンができない。データを使いやすく、分析しやすい形で柔軟に提供する、ここを支えるのがIBMアナリティクスの事業」(三浦氏)

 またIBMアナリティクス事業部門では、顧客のデータ活用を支えていくために「Open for Data」のビジョンを掲げていると説明した。具体的に、IBMは何に対して“オープン”なのか。その答えとして三浦氏は、「データ活用の環境」と「データそのもの」の大きく2つの側面において、IBMのデータ環境はオープンであると述べる。

IBMの掲げる「Open for Data」ビジョン

 「『データ活用の環境』においては、まず、オンプレミス/クラウドのどこにデータがあるかを問わず環境構築ができるオープンさ、OSSテクノロジーの採用推進による技術的なオープンさ、そして『データレイク』、他社製データソースも含め管理を統合し、活用可能にするオープンさという3つがある。また『データそのもの』については、TwitterやFacebook、Weather Companyなど価値の高いデータを保有する企業との提携、さらにパートナーがデータを売買できるマーケットプレイス(Analytics Exchange)の提供を通じて、データそのものの流通もオープンにしていく」(三浦氏)

 なお、企業のデータ活用に関しては、データサイエンティストやデータエンジニア(データ活用基盤を整備するエンジニア)の人材育成も社会的要請となっている。三浦氏は、IBMが提供する人材育成コースやイベントを紹介した。SPSSが提供していたデータ分析コンテスト(データソン)も、今年6月に“復活”するという。

データ活用人材育成支援のためのコースウェア、イベントも提供していく

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