LoRaWANゲートウェイは所有と共有サービスでの利用が可能
オープンな利用も視野に入れたSORACOMのLoRaWAN対応
2月7日、ソラコムはIoTプラットフォームサービス「SORACOM Air」のLoRaWAN対応を発表した。新たにLoRaWAN対応ゲートウェイの提供を開始し、買い取りを前提とした所有モデルのみならず、シェアリングエコノミーを意識した共有モデルもスタートさせる。
LoRaWANに正式対応し、ゲートウェイや開発シールドも提供
LoRaWANはIoTを前提としたLPWA(Low Power Wide Area)通信規格の1つで、免許不要な920MHz帯を利用し、低速ながら数kmというカバレッジで通信でき、電力消費も低い。これまでソラコムはセルラー通信でのSIMサービス「SORACOM Air」を提供してきたが、今回新たにLoRaWANに正式対応。「SORACOM Air for LoRaWAN」というサービス名で、SORACOM BeamやFunnel、Harvestなど各種サービスの利用やLoRaデバイスの管理が可能になる。
LoRaWANデバイスは、SORACOMのユーザーコンソールから購入可能。新たに3GとLoRaWANに対応するインドアゲートウェイ「AL-020」、LoRaデバイスの「LoRa Arduino開発シールド」が追加された。LoRaWANゲートウェイは、3GとLoRaWANの相互通信が可能になるため、設置するだけでIoTデバイスのデータ収集に利用できる。購入価格は1台あたり6万9800円、月額利用料が3万9800円/台で、2台目以降は2万9800円/台。月額利用料にはセルラー通信や同額のSORACOM Beam、Funnel、Harvestなどの利用料も含まれ、デバイスが増えれば増えるほど1台あたりの月額料金が下がるという。
なお、LoRaデバイスArudino開発シールドの通常価格7980円。期間限定・先着順の初回限定キャンペーンで4980円で提供される。
シェアリングエコノミーを意識した共有サービスモデル
今回提供されるLoRaゲートウェイは、導入ユーザーのみが利用できるプライベートモードや特定ユーザーに利用可能なシェアードモードのほか、全ユーザーにゲートウェイ自体を公開するパブリックモードが用意される。
今回、ソラコムはユーザーがゲートウェイを買い取る所有モデルに加え、LoRaゲートウェイをサービスとして提供する「共有サービスモデル」も用意する。単なるLoRaWANへの対応のみにとどまらず、ひとひねり加えてきた形だ。共有サービスモデルではLoRaWANゲートウェイがパブリックモードで提供されるため、全デバイスが利用可能になり、設置位置もコンソール上で公開される。そのかわり、初期費用が2万9800円、月額利用料が9980円と大幅に引き下げられ、デバイスあたりの利用料はさらに下がるというインセンティブが得られるという。通信事業者のインフラに依存するセルラー通信に対し、LoRaWANにおいてはユーザー主導型の公衆ネットワーク構築を意識しているようだ。
発表会に登壇したソラコム代表取締役社長の玉川憲氏は、ソラコムの最新動向として、契約ユーザーが5000を突破し、パートナーも57社、対応製品も60種類を超えたことを明らかにした。また、共有サービスモデルの提供に対して、「限りある電波資源を有効活用し、LPWAのシェアリングエコノミーを実現したい」とアピール。さらにIoTのデータをクラウドに上げるという本来的な目的に対して、「通信方式には特にこだわっていない」(玉川氏)とも言及しており、LoRaWAN以外のLPWAへの対応についても含みを持たせた。