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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第355回

業界に痕跡を残して消えたメーカー MITSを追いかけたIMSAI

2016年05月09日 11時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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8インチFDDのトラブルが頻発
販売店の反発にあい売上が激減

 そのIMSAI Manufacturing Corporationであるが、1979年にあっさり倒産する。倒産当時、同社の負債が190万ドルにも上った。実はこれにはからくりがある。

 Miller氏はIMSAI Manufacturing Corporationとは別に、ComputerLandと呼ばれるチェーン店を1976年に立ち上げる。こちらは全米に瞬く間に広がり、1982年には売り上げが4億ドルに達する巨大チェーンになった。もちろんこのComputerLand、当初はIMSAIを販売していた。

 ところが1979年になるとIMASIの比率は落ち、代わりにApple ComputerのApple IIやChromemco/North Starなどのマシンの売り上げが増えていった。

 こうした動向を受けて、IMSAIはIMSAI 8080やIMSAI 8085に代えてPCSシリーズやVDPシリーズを投入したのであるが、問題はこれらの機種に搭載されたPersci製の8インチFDDの素性が悪く、猛烈にトラブルを起こした。

 IMSAIはあわてて別のメーカーのFDDに切り替えたものの、Persci製ドライブで痛い目にあった販売店がこれ以上IMSAIの製品を販売するのを拒否し、売り上げが急速に悪化したのが主要因である。

 結局Miller氏は、IMSAIの主要なリソースをComputerLandに移した上で、IMSAI Manufacturing Corporation自身は倒産させることで幕引きを図った。

 IMSAI Manufacturing Corporationに残っていた資産は競売にかけられることになったのだが、その"IMSAI"という名前を購入したのが、元々はIMS Associates時代の社員であったThomas Fischer氏とNancy Freitas氏である。

 2人はFischer-Freitas Companyと呼ばれる会社を作り、ここがIMSAIの名前のみならずサポートやパーツの販売などを現在も行なっており、補修部品を買える

 さらにIMSAI Series Twoと呼ばれるプロジェクトも開始している。見かけはオリジナルのIMSAIと変わらないながら、内部はAT互換機をベースとした構成になっている。とはいえ、プロジェクトはこの数年、あまり進展がないようである。

IMSAI Series Two。これは早期のプロトタイプのようで、USBポートはまだ配されていない

IIMSAI Series Twoの内部。電源はATX電源を利用。問題は搭載しているマザーボードがSlot 1の440BXベースのものっぽい(説明によればASUSのものとのこと)。S-100バスをISAバスの先にブリッジ経由でつなぐ構造らしいのだが、今時ISAどころかPCIバスすらないのにどうするのだろう?

 一方ComputerLandの方は、その後IBM-PCの販売代理店として急速に成長するが、これにともないMillard氏は税制上のトラブルに巻き込まれることになる。最終的に氏は1987年にComputerLandの株を2億ドルでファンドに売却し、その後はコンピュータービジネスに姿を現すことはなかった。

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