ネットギアの11ac対応無線LANアクセスポイント「WAC720」は、無線LAN環境の規模に応じた“4つの動作モード”を持っている。前回は4つのモードについて見てきたが、今回は目玉機能である「アンサンブルモード」を触ってみた。
新規追加されたアンサンブルモード
3月発売のエンタープライズ向け無線LANアクセスポイント「NETGEAR WAC720 ProSAFE Wireless Access Point」。世界初、4つの運用モードに対応する同製品で、特に注目したいのは新機能でもある「アンサンブルモード」だろう。
アンサンブルモードは、最大10台のWAC720を、うち1台をマスターに設定して統合管理および設定するモードだ。管理デバイス/コントローラーを別途導入する必要なく、一通りの設定管理ができるのがうれしい。
アンサンブルモードの設定は、比較的シンプルだ。
まず、マスターに設定するアクセスポイントの管理コンソールにログインして、「Configuration」の「Ensemble」の下にある「Basic」の「General」で「Ensemble Mode」を「Start」にする。そして、「Ensemble Name」で統合管理するグループの名前を設定。ここでは「test」にした。さらに、どのアクセスポイントがマスターであるかを判断するための「Priority(0-255)」を設定。マニュアルを読んだところ、マスターにはより大きな数字を割り当てるようだ。
次に、管理用IPアドレスを設定する。もちろん、マスターのWAC720から各種設定を行えるので、設定必須というわけではないが、全メンバー共通のIPアドレスを作成すれば、マスターを別のWAC720に変更してもグループそのままで統合管理できる。万が一の不具合でマスターが動作しなくなっても、アンサンブルのグループを維持したまま、別のWAC720にマスターの役割を渡すことができるというわけだ。
次は、testグループのパスワードを設定する。「Basic」の「Secure Ensemble」に移動し、「Passphrase(8-63 characters)」に任意の数字を入力する。パスワードを設定することで、不正/不要なアクセスポイントがグループに参加しないよう防ぐことができる。
続いて、チャネルを自動で割り当てられるよう設定する。これは「Advanced」の「Channel Assignment」で「Auto Assign Channels」の「Start」を選択する。これを設定しておけば、電波のリアルタイムの状況に応じてアンサンブルのメンバーで使用するチャネルを最適なものへと自動割り当てされるようになる。
アンサンブルのグループに参加させるアクセスポイントを指定する手順は、マスターを設定したときと同じだ。違いは、「Priority」をマスターに割り当てた数字よりも小さいものを設定する部分だけだ。
最後は、SSIDの設定だ。「Configuration」の「Security」にある「Profile Settings」で空いているプロファイルを選択、「Edit」で編集する。
「Monitoring」の「Ensemble」にある「Access Point」を開けば、アンサンブルに参加するアクセスポイント、MACアドレス、ステータスなどが一覧表示される。アクセスポイント名をクリックしてドリルダウンすることも可能だ。
管理用IPアドレスやマスターのWAC720で「Monitoring」の「Dashboard」を見ると、ネットワーク全体の状況が確認できる。画面右の「Ensemble」でメンバーや接続クライアント数などが表示されている。
なお、10台以上の大規模環境を運用する場合は、「コントローラーモード」を使って同社の無線LANコントローラー「WC9500」および「WC7600」から複数台のWAC720を一括設定および管理できる。アクセスポイント間の負荷分散、ローミングなど、各種設定が可能だ。
事業の成長や拠点の拡張・増加に合わせて運用モードを柔軟に切り替えられるWAC720。無線LAN導入時は、ぜひ選定対象の1つとして検討したい。