現金をデジタルデータに変換して、小銭を取り出さずにスピーディに支払える電子マネーは、使い勝手の良さとポイントなどの現金にはないメリットがある。一部の例外を除くと、電子マネーは各サービスごとに互換性がないため、使いたいサービスを選んで利用する必要がある。今回は、日本で主流の電子マネーの種類と、どんなシーンで使えるのかを見ていきたい。
交通系 - JR東日本「Suica」
日本で主流の電子マネーといえば、「Suica」などの交通系と「WAON」などの流通系、その他の「楽天Edy」という3種類が一般的だろう。
Suicaは、JR東日本が発行するICカード型の電子マネーで、首都圏の鉄道・バス事業者が出資するパスモによる「PASMO」をはじめ、JR西日本の「ICOCA」(イコカ)、JR東海の「TOICA」(トイカ)など各地の交通系電子マネーと互換性がある。
交通系の最大の特徴は、自動改札をカードのタッチだけで通過できることだ。目的地までの料金を事前に調べて小銭を出して切符を買う必要もなく、タッチだけなのでスピーディに改札を通過できるのがメリットだ。
さらに、駅構内の売店でも交通系電子マネーを利用できることが多い。電車の乗り換えなど、余裕があまりないシーンでは、素早く売店や自動販売機で購入できるというのは大きなメリットだろう。
流通系 - イオン「WAON」、セブン&アイ・ホールディングス「nanaco」
流通系としては、イオンが「WAON」を、セブン&アイ・ホールディングスが「nanaco」を、それぞれ展開。基本的にはそれぞれのチェーン店での利用が主流だが、スーパーやコンビニなど、特定の店で常に買い物をする場合が多く、日用品の購入で頻繁に利用するため、固定客が一定の利用をするため、決済件数の高さが特徴的だ。
独自 - 「楽天Edy」
楽天Edyはカード発行枚数も多く、利用可能な店舗も多い。もともとはビットワレットがサービスを展開していたが、楽天の子会社化によって楽天Edyと名称が変わっている。古参の電子マネーとして普及度は高い。
電子マネー利用法のキホン
電子マネーを利用するには、サービスに会員登録をして、現金を電子マネーとしてチャージする必要がある。クレジットカードと連携させてチャージする方法や、店頭で直接入金する方法があり、クレジットカードと連携させた場合、残高が一定金額以下になると、自動で一定額をチャージする、という機能も利用できる。
電子マネーは、支払いの際には直接現金がやりとりされず、データだけが決済端末に送られる。それを電子マネー発行者が現金として店舗側に送るため、異なるサービス同士では互換性がなく、サービスごとにカードを持ち歩く必要がある。このあたりはクレジットカードと同様だが、それに対して、携帯電話やスマートフォンを使う「おサイフケータイ」では、複数のサービスを1台の端末に入れて利用できるため、複数のカードを持ち歩く必要がない。チャージをスマートフォンからも行なえるメリットもある。
電子マネーの利用でポイントが貯まるサービスも、そのほとんどが提供している。WAONやnanacoは、頻繁に同じ店舗で利用するユーザーが多いと考えられ、特にポイントによる効果が高い。楽天Edyは、楽天スーパーポイントやANAのマイルなど、複数のポイントから選べることが特徴的だ。