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モバイルオーディオの台風の目

先入観捨てよう、エレコムの2万円イヤフォンが超コスパ良い

2016年04月24日 11時00分更新

文● 四本淑三 撮影●篠原孝志(パシャ)

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同価格帯でも一歩突き抜けた存在

 こういうレビューのフォーマットとしては、最後に音質を語ってジャッジをくだすのが常道ですが、この製品の特徴を最初に言いましょう。

 まず音がいい。可聴帯域内の特性に極端なディップやピークは見られない。至極真っ当な、誰に媚びることもない、当たり前の性能を狙った製品です。再生するソースの得手・不得手なさという点で、普段使い用に、あるいは現在のイヤフォンのリファレンスとして、ひとつ家に置いておきたいくらいのものです。

 再生周波数帯域については、日本オーディオ協会が定めるところのハイレゾに対応していますが、そんなもの対応していようがいまいが、音の良し悪しにはちっとも関係ないんでどうでもいい。ですが、この製品の場合、もしハイレゾ対応と言える立場なら、言いたくなるのもやむを得ない気もしました。ワイドレンジな再生能力という点で、この価格帯ではピン立ちしている印象です。

 特にボトムの深さを出しつつ、タイトに締まったローエンドが魅力です。これはハイブリッド型だぞという、これみよがしのシチューニングにはなっていない。もちろん中高域の解像感はハイブリッド型ならではのものですが、レンジの広さは感じるのにドンシャリ感はありません。ベリリウムコートされているというダイナミックドライバーの振動板が、どう音に影響しているのかはわかりませんが、特にこの形式では奥に行ってしまいがちなミッドローがいい感じに前に出てくる。

 同じドライバー構成のハイブリッド型イヤフォンで比べるとしたら、最初の価格破壊者と言えるDUNU「DN-1000」が1万9410円。これも相当にコストパフォーマンスは高いわけで、出た当時は衝撃的でしたが、いま聴き比べてみると、ローの沈み込み感が一枚上手で、ハイはさらに突き抜けた感があり、比較試聴で若干派手に聴こえるエレコムは有利に思えます。イヤフォンの技術は確実に進歩しているわけです。

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