高額なエンタープライズ向け以外では、データ保管向けとなるSeagate「Archive HDD」シリーズに属する「ST8000AS0002」一択だった容量8TBのHDDだが、3月からPCストレージ向けやNAS向けなど、SeagateとWestern Digitalから、用途別に多くの製品が登場。
なかでも注目なのは、空気よりも低密度なヘリウムガスをHDD内に充填することで、プラッター回転時の空気抵抗を減らし、大容量を実現するHGSTのヘリウム充填技術「HelioSeal」を採用した、Western Digital製NAS向けHDDの「WD Red」シリーズの8TBモデル「WD80EFZX」だ。
今までHGSTのエンタープライズ向け製品で採用されていたヘリウム充填技術採用HDDを、個人ユースでも手が出せる価格帯で購入できるのは、「WD80EFZX」と同じ価格帯で登場しているSeagate製NAS向けの「ST8000VN0002」やデスクトップPC向けの「ST8000DM002」にはない魅力。
もちろん、新たに発売されたSeagateの8TB HDDは、7200rpmの高速回転、256MBキャッシュ搭載と、別の側面での魅力があるが、3年と4ヵ月ほど「WD Red」の3TB×6台をNASで運用している1ユーザーとしては、「WD Red」への信頼度はかなり高かったりする。
当然、ヘリウム充填技術を採用したことで、従来の「WD Red」とは設計が違うわけだが、“HGSTのヘリウム充填技術「HelioSeal」採用の「WD Red」”というワードは非常に物欲を刺激する。
というわけで、今まで容易に手を出せる価格帯ではなかったヘリウム充填HDDのWestern Digita「WD80EFZX」の性能や挙動を軽く試してみることにした。
ちなみに、ついに2万4000円台に突入したSeagate「ST8000AS0002」だが、こちらは「Archive HDD」シリーズの名のとおり、バックアップやアクセス頻度の低いデータ(ウォームデータ)、ほとんどアクセスしないデータ(コールドデータ)などの保管向け。
記録密度を高める記録方式のSMR技術やHDD上の“キャッシュ領域”へいったん保存した後に、書き込まれる従来HDDとは違う点が多い。筆者は3TB×4台 RAID5(9TB)、3TB×2 RAID1(3TB)で運用しているQNAP NASに、「ST8000AS0002」をUSB外付けHDDケースで接続し、外部バックアップ用に1年近く用いているが、好調に動作中だ。
ただ、バックアップしたファイルが破損していないかは、たまに確認作業を行なっているので、「ST8000AS0002」の従来HDDとは違う記録方式への不安感は1年問題なく使えても、拭え切れていなかったりする。
なお、新たにSeagateから登場したNAS向け「ST8000VN0002」やデスクトップPC向け「ST8000DM002」は従来と同じ記録方式のPMRを採用している。
テスト環境やベンチマークのバージョンは違うが、Seagate「ST8000AS0002」を試しているので、気になるひとは「4万円弱と格安の8TB HDD「ST8000AS0002」をNASで運用してみた」の記事を参照してもらいたい。
NAS以外の用途でも人気がある
WD Redシリーズの「WD80EFZX」
「WD Red」シリーズは、24時間365日稼働させるNAS運用を想定し、発熱や静音、耐久を高めたHDD。デスクトップPC向けとなる「WD Blue」シリーズ(5400rpm)と、価格差は3000円程度ながら、「WD Blue」の3倍以上となるMTBF(平均故障時間)や保証期間が1年長いなど、信頼性や耐久性を気にするユーザーに人気となっている。
「WD80EFZX」もNAS用に最適化されたファームウェアの「NASware 3.0」を採用しており、1~8ベイのNASシステムやRAIDシステムの構築などをサポート。
主なスペックは、記録方式はPMR(垂直磁気記録方式)、回転数は5400rpm、キャッシュ128MB、最大転送速度178MB/sec、100万時間のMTBF(平均故障間隔)、3年保証(正規代理店経由)と、キャッシュや最大転送速度は違うが、そのほかは「WD Red」シリーズと同じになる。
ただ、従来HDDとは底面のネジ穴位置が異なる。リムーバブルケースによっては、固定が2ヵ所になることもある。
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