経営体質は健全化された
4月28日に発表される2015年度通期業績は、2月に公表した見通しを維持した形で推移している模様で、売上高は期初計画に比べて4500億円減の7兆5500億円、営業利益は200億円減の4100億円、税引前利益は200億円減の2800億円、そして、当期純利益は据え置き1800億円の見通し。
「エアコン、ライティング、ハウジングシステム、インフォテインメントシステム、二次電池、パナホームの大規模6事業部が牽引役とはならず、そのほかのほとんどの事業部においても、当初の売り上げ目標を下回る厳しい結果となった。2015年度を総括すると、中国市場の変化やICT需要の低迷など、経営環境変化への対応力に課題があった。また、売上高は目標を下回り、増収による増益という構図を作ることができなかった。事業環境の前提や自らの競争力を改めて評価し、必要な手を打っていく必要がある」と反省する。
だが、「10兆円という高い目標を掲げたことで、従来の発想にはとらわれない、積極的な挑戦ができている。ハスマンの買収などはそのひとつ。経営体質は着実に強化しており、将来の成長に向けた仕込みが進展した」と発言。「2018年度までは、利益成長を重視し、営業利益は5000億円、当期純利益は2500億円以上を目指す。当期純利益を公表することは、ここ数年の構造改革を経て、経営体質が健全化してきており、純利益に目線をおいて、経営を推進できるようになったことの表れである。企業価値の源泉である純利益の成長にこだわった経営を推進する」と成果に自信をみせた。
つまり、2016年度の減収減益計画や、2018年度の目標値の下方修正というネガティブな要素についても、むしろ経営体質は強化されたなかで実行されたものだ、というのが津賀社長の考え方なのだ。
実際、いまから3年後の中期目標を下方修正するという点では、過去の2回の挑戦が、ズルズルとひきずったあとでの計画変更であったことに比べると、まだ時間的余裕を持っての修正ともいえる。
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