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『モバ・テク』 魅惑のモバイル・テクノロジー 第1回

GSM/W-CDMA/LTEで使われるモバイルネットワークの周波数を整理する

2016年04月16日 12時00分更新

文● 塩田紳二 編集● ASCII.jp

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700MHz~3.5GHzまで広い範囲で
多様な周波数の電波が携帯電話では用いられている

 前ページの表では見づらいので、これらのバンドの周波数を並べたのが下の図となる。この図では、わかりやすいように周波数の低いものから高いものへと並べ替えをしている。また、バンド表記でローマ数字を併記してあるものは、3Gと4Gの両方で定義されているもの、アラビア数字のみのものは4Gでのみ定義されているバンドだ。

3G、4Gのバンド定義を横軸に周波数を取りグラフ化した。周波数の順に並べ替えてある。左側でローマ字数字が併記されているのは3Gでも定義のあるバンド。2つの帯があるのは上り、下りに割り当てられた2つの周波数帯を示す

 このバンドは、3GPPに参加している各国での周波数割当を登録したものだが、周波数の割り当ては各国に裁量権があるため、微妙に違う周波数の割当が行なわれることがある。3GPPがバンド番号として対応周波数を端末や基地局の定義に含めているのは、あまりに各国が自由な割り当てをしてしまうと、機器の製造コストに影響が出てしまうからだ。

 すでに2G方式で携帯電話のシステムを構築した国もあれば、3Gや4G方式が最初の携帯電話システムになる国もある。こうした場合、あとからシステムを構築する事業者は、既存のバンドを割り当ててもらうよう国内で調整することで、すでに大量生産された安価な端末や基地局を利用できるわけだ。

 上の図では範囲が広すぎてわかりにくいので1GHzを境に分割したのが下の2つの図である。これをよく見ると、いくつかのバンド同士が同じ周波数をカバーしているように見える。たとえば、バンド5/Vは、バンド6/VIを含んでいるようだ。

1GHz以下のバンドだけをグラフ化したもの

同じく1GHz以上のバンドをグラフ化した

 これはあくまでもバンド番号の定義であり、必ずしもバンド5/V対応の基地局がバンド6/VIの端末と通信できるという意味ではない。現実にどのような動作になるのかは、端末や基地局に依存する。もともとバンド5は米国内用のバンドとして定義され、バンド6は以前の日本の800MHz帯用に定義されたものだ。

 前述のドキュメントでは、バンド番号とは別にUARFCN(UTRA Absolute Radio Frequency Channel Number。3G用。URTAはUMTSの無線部分)、EARFCN(E-UTRA Absolute Radio Frequency Channel Number。4G用。E-UTRAはLTEの無線部分)というチャンネル番号を定義している。

 チャンネル番号とは、テレビのチャンネル番号と同じく、通信用に割り当てられた一定幅の周波数であるチャンネルを区別する番号だ。前ページの表にもUARFCN、EARFCNを入れてある。この数字が違うということは、違うチャンネルとして扱われているということを意味する。バンドが定義する周波数帯が似かよっていて、チャンネルに割り当てられた周波数が同一でも、チャンネル番号が違えば、別のチャンネルになる。このようなチャンネルをどう扱うかは端末次第だ。

 どのような端末なら接続できて、どのような端末を接続させないかは、事業者のポリシーになるため、単純にバンド番号だけで、「使える」「使えない」は判断できないが、少なくとも、事業者が使っているバンド番号と端末が対応しているバンド番号は一致しているのが原則最低条件となる。

 2G/3G/4Gのバンドは、こんな感じで定義されている。さらに、3G/4Gでは、複数の周波数を同時に使って高速化する技術がある。具体的にはLTE用のCA(キャリアアグリゲーション)などの技術があるが、この周波数の組み合わせも実は、3GPPで定義されている。このため、定義されていない組み合わせを事業者が勝手に使うことはできない。

 さらに言えば「できない」というよりもそういうデバイスはカスタムデバイスとして作らない限り、半導体メーカーが製造しないため、端末そのものを作ることが難しい。さて、次回はこのCAやDC-HSPAなどと呼ばれる複数周波数を利用する方式のバンドの組み合わせを見ていくことにしよう。

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