AzureインスタンスやPowerBIなどもパッケージ、シンプルなライセンスで
日本MS、ERP「Dynamics AX」をクラウド型/月額制で提供開始
2016年03月23日 07時00分更新
日本マイクロソフト(日本MS)は3月22日、基幹業務ERPの新バージョン「Microsoft Dynamics AX クラウド」の提供を開始した。パブリッククラウド版のDynamics AXで、販売形態は月額サブスクリプションモデルとなる。
Azureが基盤のパブリッククラウドサービス版、月額料金で提供
今回提供を開始したのは、「Windows Azure」を基盤として提供されるパブリッククラウドサービス版のDynamics AX(バージョンは2012 R3)。今年後半にはオンプレミス/プライベートクラウド版の提供も予定されている。また、既存バージョンの「Dynamics AX 2012」も販売を継続する。
今回提供開始されたパブリッククラウド版Dynamics AXは、ユーザー単位の月額サブスクリプションモデルで提供される。この月額にはAzureの利用料金も含まれており、ライセンスはユーザータイプ別に3レベル(Self Serve/Task/Enterprise)に整理されている。顧客は、マイクロソフトのLSP(ライセンスソリューションプロバイダー)またはCSP(クラウドソリューションプロバイダー)からライセンスを購入する。
また、クラウドサービスとして継続的にアップデートされていくため、サブスクリプション契約中の顧客は必要に応じて、常に最新版のDynamics AXを利用できることになる。
統合されたPowerBI、数クリックでERP環境の自動デプロイなど新機能
日本MS 執行役 Dynamicsビジネス統括本部長の岩下充志氏は、日本市場におけるターゲット顧客について、グローバル展開のために各国の規制や通貨/言語に対応する必要があり、同時に導入/運用コスト低減や拡張性、セキュリティ確保も求める、250~5000人規模の中堅/大規模企業だとまとめた。
「たとえば、企業が海外に進出するタイミング、あるいはM&Aにより組織を拡大するタイミングなどがDynamics AXを採用いただくチャンスだと考えている。徐々に実績を重ねながら成長させていきたい」(岩下氏)
また、米マイクロソフト Dynamics製品マーケティングディレクターのパパイン・リッチャー氏は、デモを交えながら、Dynamics AXの新機能について説明した。
Dynamics AXでは、前述のとおり本番環境のインスタンスのほか、アプリケーション開発/テスト用のインスタンス、「PowerBI」を統合したアナリティクス機能、5秒ごとに別リージョンへのレプリケーションを行うDR機能、ユーザーごとのUIパーソナライズ機能などが、標準でパッケージされている。
管理ポータルの「Dynamics LifeCycle Services(LCS)」では、ベストプラクティスに基づいて数クリックでERPインスタンスを立ち上げることのできる自動デプロイ機能、CPU使用率などのテレメトリ-情報に基づく監視機能、ビジネスプロセスモデリング機能、ライセンス見積もり機能などが提供される。
なお発表会では、スープ専門店「Soup Stock Tokyo」やセレクトリサイクルショップ「Pass The Baton」などを展開するスマイルズが、Dynamics AX クラウドの早期導入顧客として登壇。APIを通じて他のシステムと連携が容易であり、「小規模な企業でも、システムのアジリティを高めることができる」点を評価しているという。そのほかLCSによる迅速な環境構築、Azure ADとの連携認証なども、運用負荷を軽減してくれると述べている。