クルマの中というのは移動プライベート空間と言っていい。その中で聴く音楽は最高だ。だが、音のバランスに困ったことはないだろうか。とくにiPodなどが車内で聴けるようになって、何千曲も持ち運べるようになったが、曲によって高音が足りなかったり低音が出すぎたりなど、特に困るほどではないのだが、イコライザーをいじらないと気持ち悪いという場面もあるだろう。
曲のジャンルによっても音圧などが変わってくるので、その都度イコライザーをいじるのも面倒だし、カーオーディオのプリセットでなんとなくごまかしている人も多いと思われる(筆者もそう)。
オーディオCDのデータベースを2億曲以上管理・保守する企業のグレースノートでは、同社のデータベースを利用して、車載オーディオで音楽を聴く際、楽曲に応じてイコライザーを自動調整する新技術「Dynamic EQ」を開発した。
CDをインポートすると、ジャケ写、アルバム名、アーティスト名、楽曲タイトルなどが自動取得されるが、あのデータを管理しているのがグレースノートなのだ。
今回、新開発したDynamic EQは車載オーディオ用の新技術で、例えばAという曲がかかったら、データベースにアクセスし、Aの「EQプロファイル」から最適なイコライザー情報を取得することで、高音や低音、中音域まで自動調整してくれる。もう1曲ごとにイコライザーの調整をする必要もなければ、プリセットに頼る必要もないのである。
現在、自動車メーカーやカーオーディオメーカーと調整中とのことだが、車載器にあらかじめデータベースをインストールしてローカルから情報を取得する方法と、インターネットに接続してサーバーから情報をダウンロードする方法の2通りがあるとのこと。
同社によれば2016年の年末くらいをメドに実用化に向けて動いているという。クルマの中でよく音楽を聴く人は楽しみに待っていよう。
また、もうひとつ発表したのが「MusicID-Radio」という新技術。すでにBMWの7シリーズに搭載されている技術で、ラジオでかかっている曲の情報を車載器で表示するというもの。データの取得に数秒かかるものの、ラジオ局の名前や楽曲のタイトルやアーティスト名、アルバム名、その楽曲が持っている波形データなどを取得でき、現在開発中という前提だが、Dynamic EQを適用させることも可能とのこと。また、現在地やドライバーの好みによって、ラジオ局を自動的に選局してくれる機能も搭載する。