ソフトバンクは今日9日、東日本大震災のような大規模な災害が発生した際に活躍する運搬可能な基地局を公開し、さらに今月から投入されたばかりの軽量衛星アンテナなどをお披露目した。
大規模災害時に現地に運んで組み立てる「可搬型基地局」を、同社ではすでに200台配備しているが、新しい衛星アンテナは大人が1~2人でも運べるくらい軽量化されたもので、他の機材と合わせてクルマに載せたり、エレベーターで運搬できるなど汎用性が向上している。従来のアンテナは120kgだったが、新型アンテナは96kgの重さを実現した。また、アンテナをワンボックスカーのルーフに接続するキットもあり、例えばレンタカーなどに装着すれば簡易的な移動基地局になる。
このアンテナは設置すると自動的に衛星を補足し、最短5分ほどで通信可能になるという。電源は発電機やガソリンがない場合に備えて、巨大なモバイルバッテリーとも言うべき蓄電池型のポータブルAC電源を採用している。
このような機材だけでなく、災害時の物資が備蓄されている倉庫も公開され、この中には衛星電話やイエデンワなど、緊急時に必要になるものがコンテナに詰められていた。災害が発生すればすぐに全国14ヵ所にあるソフトバンクの倉庫から発送される。
今回公開されたアンテナは音声通話復旧を最優先として運用する想定なので、電波は3G(2.1GHz帯)のみの対応。音声通話だけでなくデータ通信にも対応するが、帯域の問題であまり速度は期待できないだろうとのこと。ちなみに、PHSにも対応する。
ソフトバンクでは社内で有志社員を募り、「災害時復旧要員」として訓練を受けた社員が設営を行なう。東日本大震災をきっかけに結成され、2011年8月の台風12号や2015年の関東東北豪雨などの災害でも活躍している。
そして、災害発生時などに家族でお互いの居場所をマップで確認したり、安否情報の共有や周囲に救援を求めることができるアプリ「みまもりマップ」を5月以降に提供を開始すると発表した。このサービスは、ソフトバンクやワイモバイルだけでなく、すべてのキャリアで利用可能とのこと。いざというときのために、こちらもインストールしておきたい。