格安SIMもいよいよ次の普及段階に突入した。既存キャリアの0円騒動の影響で、スマートフォンを買い替えたい気持ちがなくなった人や、「学割」のアピールで社会人には恩恵がないと嘆いている人も、格安SIMは注目すべき存在となった。
この春、スマホにあまり詳しくない人でも不安なく加入できるよう、より一般向けに進化している。
相談できるリアル店舗で格安SIM
APN設定なんて朝飯前、キャリアメールのことも自分でなんとかできてしまう人もいる一方で、世の中にはまだまだ格安SIMを体験したことも検討したこともない人は大勢いる。
それも当然で、相談すべき人もいなければ窓口もわからない。既存大手キャリアが相談できてそのまま購入できる店舗を用意しているのに対して、格安SIMではそういう店がなかったからだ。
ところが最近、格安SIMでも相談できて申し込みできる店が続々登場している。まず思いつくのは「楽天モバイル」で、東京では渋谷や銀座の一等地に店を構え、端末選びから開通して使えるようになるまで、来店すればすべてやってもらえる。
また、イオンは従来から全国のお店の携帯電話コーナーが充実しており、既存大手キャリアの販売も力を入れていた。数年前から格安SIMのパッケージ売りを開始していたが、この春からは独自のMVNOを立ち上げて、窓口で相談して加入できる体制を固めた。
そして、家電量販店も変化している。携帯電話コーナーの一角に格安SIMの対面窓口ができ、必要なSIMフリー機の売り場も展開、拡大している店もある。
ネット申し込みには不安で、誰かに相談して加入したい人でも、今なら安心して申し込みできそうになった。そして、格安SIMを検討中の人から相談を受けた場合でも、お店に連れていけばなんとかなるようになってきた。
リアル店舗もネットも全方位の楽天モバイル
楽天モバイルは、ネットからの申し込みももちろんできるが、「楽天モバイル」としてスタートした時期に東京・渋谷に直営店を出し、リアル店舗での展開をスタートさせている。店舗で相談しながら申し込みができ、開通まで対面で対応してくれる。
しっかりと時間をかけて対応してくれるため、混雑していれば待ち時間がかかってしまう点が少し残念だが、既存大手キャリアの店舗も常時混雑していることを考えれば、大した問題ではないかもしれない。
店頭には楽天モバイルが販売するスマートフォンが並び、実際に操作して使い心地を試すことができる。店員に余裕があれば説明もしてくれる。また、一部店舗では楽天カフェも併設となっており、コーヒーを飲みながら楽天モバイルを体験することも可能だ。
楽天モバイルで販売される端末は、発表会などではファーウェイ製が全面に押し出されている印象もあるが、富士通、ソニー、シャープといった国内ブランド品もあり、海外ブランドに馴染みのない人に人気を集めている。
iPhoneと最新最高スペックのスマートフォンが揃ってないということを除けば、端末選びと購入という点で既存キャリアと遜色ない対応が受けられる。
また、iPhoneの発売に合わせ、SIMフリー版を持ち込むと設定をはじめとした特典があるキャンペーンも行なわれた実績もある。
端末を買わずに回線契約だけという人にも優しい。例えば手持ちのドコモ端末のままSIMだけ格安SIMに乗り換えたい人も、楽天モバイルの店に来店すればよい。
さらに楽天モバイルは、東京の一部地域限定で、申し込みから最短3時間でコンビニのローソンで受け取れるサービスを3月3日から開始した。リアル店舗に出向くほど相談したいわけでもなく、申し込みから短時間で、しかも、地元のお店で端末やSIMを受け取りたい人に適している。
通常の通販で申し込むよりも圧倒的に早いことや、配達を待つため家で待機したくない人にも便利だ。
楽天モバイルは5分以内の通話料が何度でも無料となる月額850円のオプションを用意し、通話をよく使う人も割高になりにくい。料金制度でも、申し込み制度でもさまざまな人が満足しやすいよう展開している。
スーパーで日用品を買うついでに格安SIM
続いてリアル店舗の注目はイオンモバイル。楽天モバイルが都市部の繁華街の一等地にあることに比べると、こちらは郊外を含めた全国展開。大型ショッピングセンターのイオンモールをはじめ、イオンのお店の一部には携帯電話売り場があるが、そこで申し込みが可能だ。
スーパーの売り場なので、晩ごはんの買い物ついでにちょっと立ち寄って格安SIM、ということができる。もちろん、買い物帰りの顧客を想定したサービスとなっているため、詳しくない人でも契約できる体制が整っている。
さらに、同時に購入できる「イオンスマホ」は、専用のサポートサービスが付いており、3大キャリアのサポートと同様に修理代替機まで用意されるほど手厚いものとなっている。
「イオンスマホ」として現在提供される端末は原則として京セラ、富士通、シャープなど国内ブランドのものとなっている。イオンにはさまざまな層の顧客がおり、SIMフリー端末の中でも売れ筋とはいえASUSやファーウェイは一般にはまだなじみが薄い。そこで、顧客の要望もあって、現在は国内ブランド中心の展開を行なっているという。
そして、イオンモバイルはこの春から新サービスを開始。これまでは既存の格安SIMを「イオンSIM」として販売してきたが、新たに「イオンモバイル」という独自の格安SIMを立ち上げた。
大手格安SIMよりも若干割安な料金と、月間の高速通信容量が0.5GBから50GBまで非常に細分化されているのが特徴。これまでよりもさらに多彩な需要に応えられるように進化しており、まさにイオンに来店する人すべてをターゲットとしたものとなっている。

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