筆者の住んでいるサンフランシスコのちょっと北、バークレーは、ここ2週間ほど豪雨です。若干身の危険を感じるほど、ゴーという音を立てて雨が降り、風も強い状態。寒冷前線を伴う低気圧が繰り返し通過している気象条件が続いており、山沿いは大雪。
本連載でも繰り返し紹介しているとおりに、記録的な渇水に悩むカリフォルニアとしては、願ってもいない降水です。また、晴れた日はぽかぽかと暖かいため、とてもありがたみを感じます。でも、3月末はラスベガス、東京と出張が続く関係で、できれば安定した天気でフライトを迎えたいところです。
さて、今日の話題はケータイの料金プランについて。スマートフォンを持っている世界中の人々は、少なからず、自分の料金プランに興味があるでしょう。誰もが願うのは、つながりやすく、高速で、しかも安いこと。しかしながら、ネットワークの構築と維持、サービスの提供にもコストがかかるわけで、すべての人が満足するプランを提供できるわけではありません。
これまで招待制だったGoogleのユニークなMVNO、Project Fiが招待制を廃止し、誰でも加入できるようになりました。しかも、今ならNexus 5Xが150ドル引き。まあNexus系のデバイスが必要なサービスなので当然ではあります。なかなか意欲的なプランがどれだけ浸透するか注目しています。
ケータイ業界では日本の施策の後追いの米国
決して日本より安いわけではない
日本では「0円ケータイ」に象徴される新規加入者やMNPの顧客を優遇する料金施策が批判され、改善が進んでいます。だからといって現時点で既存の加入者が劇的に安くなるわけでもなく。いろいろな制約の中で価格が決まっていることを十分に理解しつつも、「大手キャリアの料金プランは柔軟性に欠ける」というイメージは変わっていません。
そこに風穴を開けるべく、“格安SIM”として広がっているのがMVNOによるサービスです。個人的には“格安”を強調しすぎなくても、通信と他のサービスを組み合わせて、面白いサービスを打ち出すことができるのではないかと思っています。ただ、まだ料金に目が行きがちなのも事実ですね。
個人的には、通信サービスにもう少し格差を設けても良いのではないか、と思いました。たとえば回線交換でつながることが確実な音声通話と、データ部分を使うVoLTEで料金に格差を設けるとか、回線交換の通話なしで安くするとか。
ではアメリカのケータイ料金が日本に比べて素晴らしく安いか、といわれるとそうではありません。イメージとしては、ドコモ/KDDI/ソフトバンクが、それぞれVerizon/AT&T/Sprintとイメージしていただけると比較的近いのではないかと思います。筆者の使うT-Mobileは、Sprintとは特に関係ありませんがY!mobileといったあたりでしょうか。
T-Mobileは他キャリアからMNPで移ってくると、300~650ドルのキャッシュバックが受けられ、これを元手に新しいスマホを買ってね、というわけです。これって、日本が「やめよう」ということになった新規加入優遇のキャッシュバックと同じですよね。
日本で取り入れられている音声通話無制限でデータ容量を選ぶ料金方式は米国で先にスタートしていましたが、大手3社にはデータ使い放題のプランはなく、Verizonの場合は3GBのデータプランをつけて65ドルです。ちなみに、それ以下のデータ量では、1GBで50ドル、6GBだと80ドルになります。日本と比較して、必ずしも安いわけではありません。
まあ、加入者もVerizonだけで1億1210万人と多いですが、米国国土は日本に比べてさらに大きく、むしろ頑張っている方なのかもしれません。
Google発のProject Fiの面白いところ
さて、Googleがひっそりと取り組んできたProject Fi。このサービスはNexus端末専用で、ネットワークはT-MobileとSprintを利用、つまりMNVOです。しかもGoogleが認定したWi-Fiも活用した、3つのネットワークを使い分けます。その場所で最も有利な回線を利用して通信をするのです。この仕組みを実現するのがNexus端末というわけです。
料金も、通話とSMSが使い放題で月額20ドル。これに1GBごとに10ドルずつのデータプランを追加していきます。1GBのプランであれば月30ドルで済むため、前述のVerizonのプランに比べるとかなり安いことがわかります。
しかも、使わなかったデータ部分は、1GBあたり10ドルのレートでクレジットされます。例えば1GBプランを使っていて、800MBしか使わなかった場合、200MB分の2ドルが返ってくる、というわけです。
日本のキャリアではデータの繰り越しに対応していて、翌月たくさん使えるという仕組みです。Project Fiの場合、使わなかった分は払わないという考え方。結果的には同じとも言えるのですが、後者の方が出費を抑えられるのではないでしょうか。
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