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業界人の《ことば》から 第184回

市なのか? 企業なのか?

デルと提携、スマートグラス開発、人口7万の鯖江がITを牽引?

2016年02月23日 09時00分更新

文● 大河原克行、編集●ASCII.jp

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めがねフレームの実績生かしてスマートグラス開発も

 鯖江市は、オープンデータ以外にも、ITに対して、積極的に取り組んできた経緯がある。

 2006年からは、牧野市長自らがブログを開設。市役所内の会議でもペーパーレス化を実践。牧野市長自らも、iPadを駆使している。

 そして、これらの取り組みの背景には、同市出身のIT分野のリーダーがいることが見逃せない。

 秀丸エディタ開発者のサイトー企画の斉藤秀夫氏や、データ復旧サービスなどを展開するエムディエスの田辺一雄氏は、いまでも鯖江市に在住。同市内にある福井工業高等専門学校出身であるjig.jpの福野泰介氏も同社開発拠点を鯖江市に置いている。オープンデータ活用の第1号となった、トイレの場所を検索できるアプリも、福野氏が開発したもので、そのほかにも多くのアプリが、鯖江市が公開するオープンデータを活用して開発されている。そして、サイバーエージェントの藤田晋社長も鯖江市出身だ。

 また、福野氏が開発した、こども向けコンピュータ「IchigoJam」によるBASIC学習も、市内の中学校1校、小学校3校で実施しているという。

 牧野市長は、こうしたIT分野におけるリーダーたちの意見を聞きながら、ITへの取り組みを促進。第4の産業へと育てようとしている。

 今後は、国産めがねフレームでは9割以上のシェアを持つ強みを生かし、スマートグラス分野での企業連携の働きかけを加速。すでに地元企業が村田製作所などとスマートグラスの共同開発をはじめているという例もある。

 「モノづくりのイノベーション最先端地域である鯖江市は、内発的発展によって既存産業を活性化させてきた歴史がある。スマートグラスも同様に、既存産業の内発的発展につながる」とする。

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