めがねフレームの実績生かしてスマートグラス開発も
鯖江市は、オープンデータ以外にも、ITに対して、積極的に取り組んできた経緯がある。
2006年からは、牧野市長自らがブログを開設。市役所内の会議でもペーパーレス化を実践。牧野市長自らも、iPadを駆使している。
そして、これらの取り組みの背景には、同市出身のIT分野のリーダーがいることが見逃せない。
秀丸エディタ開発者のサイトー企画の斉藤秀夫氏や、データ復旧サービスなどを展開するエムディエスの田辺一雄氏は、いまでも鯖江市に在住。同市内にある福井工業高等専門学校出身であるjig.jpの福野泰介氏も同社開発拠点を鯖江市に置いている。オープンデータ活用の第1号となった、トイレの場所を検索できるアプリも、福野氏が開発したもので、そのほかにも多くのアプリが、鯖江市が公開するオープンデータを活用して開発されている。そして、サイバーエージェントの藤田晋社長も鯖江市出身だ。
また、福野氏が開発した、こども向けコンピュータ「IchigoJam」によるBASIC学習も、市内の中学校1校、小学校3校で実施しているという。
牧野市長は、こうしたIT分野におけるリーダーたちの意見を聞きながら、ITへの取り組みを促進。第4の産業へと育てようとしている。
今後は、国産めがねフレームでは9割以上のシェアを持つ強みを生かし、スマートグラス分野での企業連携の働きかけを加速。すでに地元企業が村田製作所などとスマートグラスの共同開発をはじめているという例もある。
「モノづくりのイノベーション最先端地域である鯖江市は、内発的発展によって既存産業を活性化させてきた歴史がある。スマートグラスも同様に、既存産業の内発的発展につながる」とする。
この連載の記事
-
第606回
ビジネス
テプラは販売減、でもチャンスはピンチの中にこそある、キングジム新社長 -
第605回
ビジネス
10周年を迎えたVAIO、この数年に直面した「負のスパイラル」とは? -
第604回
ビジネス
秋葉原の専門店からBTO業界の雄に、サードウェーブこの先の伸びしろは? -
第603回
ビジネス
日本マイクロソフトが掲げた3大目標、そして隠されたもう一つの目標とは? -
第602回
ビジネス
ボッシュに全株式売却後の日立「白くまくん」 -
第601回
ビジネス
シャープらしい経営とは何か、そしてそれは成果につながるものなのか -
第600回
ビジネス
個人主義/利益偏重の時代だから問う「正直者の人生」、日立創業者・小平浪平氏のことば -
第599回
ビジネス
リコーと東芝テックによる合弁会社“エトリア”始動、複合機市場の将来は? -
第598回
ビジネス
GPT-4超え性能を実現した国内スタートアップELYZA、投資額の多寡ではなくチャレンジする姿勢こそ大事 -
第597回
ビジネス
危機感のなさを嘆くパナソニック楠見グループCEO、典型的な大企業病なのか? -
第596回
ビジネス
孫正義が“超AI”に言及、NVIDIAやOpen AIは逃した魚、しかし「準備運動は整った」 - この連載の一覧へ