エレコムが今月発売したWindows Storage Server搭載のNASシリーズ。あらゆる法人ユーザーが安心して使えるように、高い信頼性と管理のしやすさ、品質の高いサポートを提供する製品だ。
今回はその製品企画/開発に携わったエレコムグループの担当者2名に、エレコム製ならではの製品特徴や強み、法人向けNASに対するこだわりを語ってもらった。
10年以上に及ぶWindows NASの開発ノウハウをつぎ込んだ新製品
今月発売されたエレコムのWindows Storage Server搭載NASは、中小規模のオフィス向け(ボックス型)から大規模オフィス向け(ラックマウント型)まで、幅広いラインアップを取りそろえている。そのうち、ボックス型の「NetStor NSB-75S4CW2シリーズ」は、推奨接続台数が50台までの中小オフィス向けNASだ。
同シリーズには、搭載するドライブ容量が異なる(物理容量4TB~24TB)、5モデルがラインアップされている。いずれも信頼性の高いNAS専用HDD「WD Redシリーズ」を搭載しており、高速なCPUや大容量メモリ、ギガビットLANポートにより快適なファイルの読み書きが可能だ。そのほか、Active Directoryへのネイティブ対応によるユーザー管理連携、USB 3.0による外付けHDDへの高速バックアップなどが可能になっている。
機種名 | NetStor NSB-75S4CW2シリーズ |
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ドライブベイ | 3.5インチ×4ベイ |
HDD | WD製Redシリーズ |
物理容量 | 4TB/8TB/12TB/16TB/24TB(5モデル) |
RAIDレベル | RAID 0/1/5 |
OS | Windows Storage Server 2012 R2 Workgroup Edition |
CPU | VIA Dual Core/1.6GHz |
メモリ | 4GB |
LANポート | ギガビットEthernet(1000BASE-T)×2 |
USBポート | USB 3.0×2、USB 2.0×4 |
その他機能 | ホットスワップ、Active Directory連携、HDD暗号化、UPS連動、システム領域のみリカバリー、ウイルスチェック(別途インストール)など |
さて、Windows Storage Server搭載のNASは、「エレコム」ブランドでは今回が初めての製品となる。ただし、エレコムのグループ会社であるロジテックでは10年以上前の2002年から、サーバー用Windows OSを搭載したNAS(以下「Windows NAS」と記す)を開発/販売してきた。
今回の新製品はその後継機をエレコムブランドで投入するものであり、当然、これまでロジテックが培ってきた開発ノウハウや、現場ユーザーの声も反映されている。製品開発を担当したロジテックINAソリューションズの西田氏は、次のように語る。
「当社のWindows NASはこれまでも、企業の情シス部門など、管理されるユーザーの声を聞きながら改善を続けてきました。そのぶんだけ、使いやすい製品に仕上がっていると自負しています」(西田氏)
たとえばソフトウェア面では、Windowsが標準搭載する管理ツールだけでなく、エレコムが独自に開発したWeb管理インタフェースを備えている。これは元々、工事現場の事務所にNASを導入するユーザーから「誰でも簡単に設定できる機能を」と要望を受けて開発したものだ。専門知識がなくても容易にNASをセットアップできる。
また、万が一の盗難などに備えて、ドライブを丸ごと暗号化する機能も標準で備えている。エレコムの山田氏は、この価格帯のWindows NASで、ハードウェアアクセラレータ(VIA CPUに内蔵)を使った速度低下の少ない暗号化機能を搭載している製品はほかにないと強調する。
「金融系のお客様などは、やはりドライブの暗号化機能がないと導入できないとおっしゃいます。そういう声を受け、前のモデルから暗号化機能を標準搭載しています」(山田氏)
ちなみにこのドライブ暗号化機能では、暗号を解除するための鍵を本体内ではなく、外付けのUSBメモリやLAN内の別のサーバーに置くこともできる。その場合、本体だけが盗まれても中のデータは読み出せない。こうした細かな作り込みは、まさに現場の声をよく聞いてきたからこそできたと言えるだろう。
エレコムグループ各社のノウハウが開発に生かされた
もう1つ、現場ユーザーからの声で搭載された機能が「システムのみの復旧機能」だ。これは、急な電源遮断などによってシステム障害が発生した場合でも、保存データまでリセット(消去)することなくシステムをリカバリできる機能である。「システム障害が起きた場合でも、迅速にデータへのアクセスを回復できます。事業継続性を考えた機能です」(西田氏)。
今回の製品発売に合わせて、筐体のハードウェア設計も数年ぶりに刷新された。たとえば、フロントカバーにある大型の液晶パネルには、稼働状態が一目で分かるように日本語メッセージが表示される。各HDDのステータスを示すLEDも新たに搭載されている。
さらに、4年、5年と長期にわたって使われる製品なので、ハードウェアの「見えない部分」においても、可能なかぎり堅牢性と信頼性を高める工夫がなされている。
たとえば、新たに大口径ファンや大型ゴム脚を採用したことで、振動を抑え静音性を高めた。さらに、ドライブベイにはHDDから出る微細な振動を抑えるレールクッションを搭載している。加えて、フロントカバー内にはホコリの侵入を防ぐフィルタが新たに内蔵された。
山田氏は、特にハードウェア開発においては、エレコムグループ各社の相乗効果があったと振り返る。
「たとえば、PCやマザーボードの設計ノウハウを持つグループ会社の日本データシステム(JDS)には、筐体内のエアフロー設計などの面でアドバイスをもらいました。ハギワラソリューションズも同様です。エレコムのNASは、グループ各社が持っている経験や知識を少しずつ盛り込んで開発されています」(山田氏)
万が一のHDD故障時にも「データ復旧」までカバー、充実したサポート体制
法人ユーザーが安心してNASを使うためには、サポートサービスが充実していることも重要なポイントだ。この点では、エレコムに一日の長がある。国内に自社で運営するサポートセンターを有しており、これまでも丁寧なサポートを維持してきた。さらにNAS製品専任のサポートスタッフがおり、ユーザーの専門的な質問にも回答できる点が強みだ。
「エレコムのサポートは、お客様が本当に『使える』ようになるまでサポートする姿勢を持っています。仮に、他社製品との組み合わせでうまくいかないような場合でも、問題解決までしっかりサポートしています」(山田氏)
製品保守サービスも、標準保証の延長オプションのほか、デリバリ保守やオンサイト保守が提供されている。山田氏はその中でも、オンサイト保守に「データ復旧サービス」をプラスしたオプションを提供しているのが、他社にない特徴だと語る。これは、HDDやRAIDの障害でデータが読み出せなくなった場合に、ロジテックの「データ復旧技術センター」がデータ復旧を手がけるというものだ。
さらに4月上旬からは、多数の拠点にある複数台のエレコムNASの稼働状況をクラウドからまとめて監視できる「IoTサービス(仮)」もスタート予定だ。この無償サービスを使うことで、管理者のいない拠点にあるNASの稼働状況や、ディスクの使用率なども集中管理できる。大きな障害が発生する前に、事前に手を打つこともより容易になるわけだ。
「法人のお客様がいちばん心配されるのは、NASが壊れてデータが消えてしまうこと。エレコムでは、その不安を少しでも解消できればと考え、手厚いサポート体制を備えています。大切なデータを預ける先として、万が一のデータ復旧までしっかり自社でサポートできる『エレコムのNAS』をぜひ選んでいただきたいですね」(山田氏)
(提供:エレコム)