このページの本文へ

前へ 1 2 3 4 5 6 次へ

1万円台イヤフォンから変わり種スピーカーまで、今旬のBluetoothオーディオを聴きまくる! 第3回

変態的……いや、超個性的なBluetoothスピーカーを試聴する!

2016年02月17日 10時00分更新

文● 鳥居一豊

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 スマホを使った手軽な音楽鑑賞にぴったりのBluetoothオーディオを紹介してきたこの特集。第3回は、Bluetoothオーディオの定番的存在であるスピーカー……ではつまらないので、思わず「変態的!?」と言ってしまいたくなるような、超個性派モデルを集めてみた。

 現在のBluetoothスピーカーは、かつてのラジカセやミニコンポと同じレベルで、自分の部屋で使いたいパーソナルなオーディオ機器として浸透している製品ジャンル。人気の高いジャンルだけに、国内・海外のオーディオメーカーはもちろんのこと、スマホ系アクセサリーメーカーやPC周辺機器メーカーなどなど、さまざまなメーカーが参入し、国内で発売される製品の数もかなり多くなっている。

 その中から「これ、変わってるな~」「攻めてるな~」という製品をピックアップしている。

定番スタイルながらその充実機能が驚異的!!
重低音に振り切ったソニー「SRS-XB3」

「SRS-XB3」の外観。丸みを帯びた立方体フォルムになっており、上部にNFCマークや操作ボタン類がある

「SRS-XB3」の外観。丸みを帯びた立方体フォルムになっており、上部にNFCマークや操作ボタン類がある

背面にある接続端子。ステレオミニ端子、ACバッテリー用の電源端子、スマホなどへの給電用USB端子がある。防水仕様のため、厳重なキャップで保護されている

背面にある接続端子。ステレオミニ端子、ACバッテリー用の電源端子、スマホなどへの給電用USB端子がある。防水仕様のため、厳重なキャップで保護されている

前面から見たところ。2つのフルレンジユニットの間にパッシブラジエーターを配置。前面びっしりユニットという感じ。パッシブラジエーターは背面にもう一つ装備する

前面から見たところ。2つのフルレンジユニットの間にパッシブラジエーターを配置。前面びっしりユニットという感じ。パッシブラジエーターは背面にもう一つ装備する

 まず紹介するのが、ソニーの「SRS-XB3」(実売価格 2万円前後)。外観は、最近のソニー製品に多いソリッドな立方体フォルムを採用。角を斜めに落としたデザインはやや丸みを帯びて親しみやすい印象になっている。カラーはブラック、レッド、ブルーの3色だ。

 横幅211mmで片手で手軽に持ち運べるサイズは、人気のBluetoothスピーカーのトレンドそのものといった感じで、驚くべきような見た目ではない。

 しかし、同社の重低音ヘッドフォンブランド「Extra Bass」の名を冠しており、そのコンセプトは面白い。そして、約2万円という手頃な価格からすると、ちょっと驚くくらいの機能が凝縮されている。

 スピーカーは48mm口径のフルレンジ×2、パッシブラジエーター×2の4ユニット構成。そのせいか、重量が930gとけっこう重い。バッテリー寿命はなんと約24時間という長さで、それでいてアンプ出力は15W+15Wとけっこうな大出力だ。

 肝心のBluetoothは、NFC対応は当然で、コーデックは標準のSBCに加えて、AACとソニー独自のLDACに対応。

 これで十分という気もするが、さらにIPX5相当の防水性能も実現しているのだ。見た目はスタンダードだが、これだけ機能がてんこ盛りだとある意味変態的とも思える。

Extra Bassブランドだけに、一味違う重低音!

 Bluetoothスピーカーのトレンドをすべて凝縮したようなSRS-XB3は、当然ながら音質の方もかなりこだわっている。

 独自のフルデジタルアンプ「S-Master」などの搭載はもちろんとして、こんなコンパクトなサイズながらもパンチの効いた重低音再生が可能だ。

 さっそく「ガールズ&パンツァー劇場版」のサントラを聴いてみると、大太鼓や低音楽器の力強い響きがしっかりと出てくる。驚くことに、パッシブラジエーターの低音は80~60Hzあたりまで伸びていて、単に低音が鳴るというだけでなく、芯の通った力強い低音が再生できる。

 コンパクトなBluetoothスピーカーの「重低音」は、実は125Hz付近の中低音を増強することで低音感を増強することが多いが、本機の場合は真面目にサブウーファーが担当するような低音域まで再生能力を高めているから恐れ入る。

 低音がしっかりとしているので、メリハリが効いた中高音の再現もより厚みのあるサウンドになる。意外にトランペットの音の響きが空間に広がっていくような音の広がりも豊かで、きめ細かいトーンの変化もしっかりと出るなど、なかなかの表現力だ。

上部の操作ボタン群。「Extra Bass」ボタンで低音がブーストされる。本機2台を無線通線してステレオ再生できる「ADD」ボタンもある

上部の操作ボタン群。「Extra Bass」ボタンで低音がブーストされる。本機2台を無線通線してステレオ再生できる「ADD」ボタンもある

 しかも、ワンボタンで電気的に低音域をブーストする「Extra Bass」機能もある。こちらは125Hz付近の中低音を増強するようだ。最近人気のあるEDM(Electric Dance Music)などのジャンルでは、最低域の伸びだけでなく、125Hz付近の中低音の増強が求められるというリサーチ結果を反映したという。

 これをオンにした状態で、主題歌の「ピース・オブ・ユース」を聴いてみると、音の厚みがさらに増す。ダンス系のサウンドならば、特盛りのグラマラスな低音感になるが、わりとしっとりとしたボーカル曲の場合では、それほど筋肉モリモリのサウンドにはならず、透き通るような歌声の鮮明さが曇るようなことはない。むしろ、低音の安定感が増すことで、ボーカルが鮮明さがさらに前に出てくるような感じだ。

 筆者は一応ピュア・オーディオにもそれなりに取り組んでいるので、こうしたポータブル機器の重低音は好みに合わないことが多いが、SRS-XB3の低音はExtra Bassの重低音も含めて、不自然さを感じないしっかりとした低音だと感じた。

 本機は、同じモデルを2つ使用してステレオ再生も行なえるなど、より高音質で楽しむためのグレードアップにも対応しており、なかなかに活用の幅が広いと思う。

 Bluetoothスピーカーはいずれも実力の高いモデルが多いが、なかでも本機は頭一つ抜けた実力があると思う。

前へ 1 2 3 4 5 6 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

週刊アスキー最新号

編集部のお勧め

ASCII倶楽部

ASCII.jp Focus

MITテクノロジーレビュー

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード
ピックアップ

デジタル用語辞典

ASCII.jp RSS2.0 配信中