東芝は、2015年度通期の業績見通しを下方修正し、最終赤字が7100億円に膨れ上がることが明らかになった。
同社では、売上高は6兆2000億円と据え置いたものの、営業損益は12月公表値から900億円減の4300億円の赤字、税引前損益は1000億円減の4000億円の赤字、そして、当期純損益は1600億円減の7100億円という大幅な最終赤字見通しに修正した。東芝にとって過去最大の最終赤字となる。
東芝の室町正志社長は、「今回の修正は、来年度のV字回復への決意と捉えてほしい。今年度中にすべての膿を出し切る」と、今回の修正理由を語る。
だが、今回の修正が気になるのは、前回公表から、わずか1ヵ月で、それを大きく変更したことだ。
東芝は、12月21日に、通期見通しで5500億円の最終赤字になることなどを発表。このときにも過去最大の最終赤字計画に激震が走ったが、それから約1ヵ月で1600億円もの下方修正を行った。
「公表から1ヵ月あまりで大きな修正となったことを深くお詫びする」と室町社長は陳謝。「金融機関から、すべての膿を出し切ってほしいとの要請を受けた」と、その背景を語る。
たった1ヵ月で計画の見直しを迫られる
さらに、同じく12月21日に公表した新生東芝アクションプランについても、やはりわずか1ヵ月で、新たな加施策を発表した。
ハードディスク事業については、エンタープライズ分野に開発リソースをシフトする一方、国内150人の人員を再配置および早期退職制度を実施するとした。また、ヘルスケア事業については、2016年3月末にヘルスケア社を廃止、国内で約90人の再配置および早期退職制度を実施するという。さらに、送配電事業は、海外拠点の閉鎖、縮小を実施することも明らかにした。すでに1万600人の人員削減を発表していた東芝だが、さらなる人員削減を伴う追加施策を発表したことは、プラン公表からわずか1ヵ月の間での修正というには、あまりにも重たい内容だ。
「赤字事業の解消や財務体質の改善など、今後の成長に向けためどをつけるために、今年度中に最大限の処理を行ないたいと考えた」と、室町社長は語るが、これは、新生東芝アクションプランの発表時にも語っていた内容。東芝のプラン策定の甘さが見えると言わざるを得ない。
そして、もうひとつ気になる内容は、2016年3月末には、自己資本が1500億円に減少。自己資本比率は2.6%にまで落ち込むという点だ。最低でも20%以上の自己資本比率が健全といわれるなかで、東芝の自己資本比率は危険水域に入っているのは明らかだ。東芝が債務超過に陥る可能性も捨てきれない。