初めての訪問客にもリピーターにも満足してもらうために
レシピサイトのリニューアルにあたって頼廣氏は「『レシピサイト』から『オンラインショップ』への流入や新規UUの獲得」をKPIと考え、「レシピの視認性向上」と「オンラインショップやブランドサイトへの自然な誘導」を重視した。
「レシピの視認性向上」については、顧客を“検索からたどり着いてル・クルーゼの製品をまだ持っていない新規顧客”と、“すでにル・クルーゼの製品を持っていて、自分の持っている製品で何ができるかを調べたい既存顧客”の2パターン分けてアプローチする方法を取り入れた。
例えば、レシピページのファーストビューは、新規顧客向けに『新着レシピ』を表示してサイトのフレッシュ感を演出し、既存顧客向けには人気のレシピや使用している鍋の種類などからレシピを探せるようにした。
実は、ル・クルーゼの「レシピサイト」と「オンラインショップ兼ブランドサイト」は、別ドメインのそれぞれ完全に独立したサイト。そのため、サイト訪問者は2つのサイトを行き来するのに違和感を覚えるのか、それぞれに遷移して離脱してしまうと現象が問題であった。そのため、「オンラインショップやブランドサイトへの自然な誘導」を目標に掲げたのだ。
方法としては、2つのサイトのグローバルメニューの色をイメージカラーのオレンジで統一し、同一ウィンドウ内で開くようにして、違和感をなるべく少なくしたのだ。
ル・クルーゼ流コンテンツの作り方
ル・クルーゼのレシピを探している人が検索する言葉は、どんなものだろうか。
答えは、1位が「ル・クルーゼ ごはん」で、2位が「ル・クルーゼ 肉じゃが」。この2トップは、何年もの間、不動の人気を誇っている。そうした人気のレシピは、工程ごとに写真と丁寧な説明を加えるだけでなく、動画をYouTubeでも公開している。
YouTubeの「Le Creuset Japon」に掲載されている「白米を炊く」レシピ動画
サイト内の回遊を促進するために、単発のレシピだけでなく、季節のイベントに合わせたレシピ集も作成している。寒い季節なら「ル・クルーゼの熱々お鍋特集」となる。
定番から変わり種まで、全16種類を紹介。このレシピ集は季節が巡るたびに、新たなものへと作り変えている。
「クリスマス・お正月・バレンタインなど季節が変わるタイミングで作っています」(及川氏)
社内にはホームエコノミストというレシピ開発の担当者がいて、紙媒体のレシピブックを年に4回発刊し、Webにも反映している。年間で40〜50の新しいレシピを開発しているので、レシピサイトで公開しているレシピの数も、サイト開設から2015年1月までに500を超えた。
中でも2015年にヒットしたのが「トマトごはん」だ。
「トマトごはん」は『ル・クルーゼで作る とっておきブランチレシピ(著:ル・クルーゼジャポン株式会社、レシピ監修:坂田阿希子、主婦の友社刊)』に入っているレシピだが、頼廣氏は当初から「ただ美味しいだけじゃなく、ビジュアル的に非常にインパクトがあって、ネット受けする」と感じていたそうだ。Facebookでもいつもの倍くらいにリーチが伸び、ソーシャルメディアからレシピサイトへの流入も非常に多かった。
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日々、試行錯誤することで、「レシピサイト」から「オンラインショップ兼ブランドサイト」への流入は、2014年比で15%も上がっている。ショップサイトとオウンドメディアを行き来してもらうために、“UIを統一して違和感を払拭することで、直帰率を減らす”という視点は、意外と見落とされがちなのではないだろうか。
次回は、ソーシャルメディアの活用術やWebサイト以外でのコンテンツの活用方法について紹介する。