筆者的イチオシのソニー「サイバーショット RX1R II」
ローパスフィルター切り替えってそういうこと?
RX1R II(DSC-RX1RM2)の最大の特徴はローパスフィルターだ。従来モデルではローパスフィルターの有無で「RX1」と「RX1R」の2機種に分かれていたが、「RX1R II」では光学式可変ローパスフィルターが搭載されたことにより、1台だけでローパスフィルター有/無、2台分の撮影が行なえるようになった。
おさらいになるが、ローパスフィルターは現在主流の撮像素子で採用されているベイヤー配列のイメージセンサーでは構造上除去するのが難しいモアレや偽色の発生を抑えるために必要な機構。
実際には何をしているかといえば、センサーに光が当たる直前に画像をぼかす役目をしており、そのため解像力を犠牲にしている面がある。
とは言っても、センサーの性能や画像処理によって実用上は問題にならないレベルに補正され、十分なシャープネスを持った画像に仕上がっているのだが、写真の記録解像度が大きくなり、カメラやレンズの性能が上がったことで、より高精細な写真を記録したいという要望が出てきた。
そこで、モアレや偽色が出てでも解像力を優先するためローパスフィルターを使わない機種が出はじめてきた。ローパスフィルターを採用しない機種が最近は増えてきたことで、画像処理もローパスフィルター無しを前提に補正することでモアレや偽色が抑えられるようになってきている。
しかし、補正によってモアレや偽色が完全に抑えられるわけではなく、どうしても出てしまう可能性もあるため、同一機種でローパスフィルターの有/無で2機種に分かれてしまうとどちらを購入すべきか迷ってしまう人も多かったと思う。
その点、本機ならローパスフィルターの機能を切り替えできるので、もう迷う心配はない。
今回採用されている光学式可変ローパスフィルターはローパスフィルターのオン/オフが切り替えできるだけでなく、効果を3種類、「切」「標準」「強」から選べる。
また、ブラケット撮影時には連続で「切」「標準」「強」の3枚を記録することができるので、迷ってもブラケット機能で撮影すれば手間はかからない。撮影時に効果を考える手間でブラケット撮影してしまえば後からゆっくり見ながら考えられるのは便利だ。
ファストハイブリッドAF搭載
AFが動いてるのを意識しないで撮影可能
撮像素子は約4240万画素の裏面照射型ExmorR CMOSセンサーを採用。先だって発売されているα7R IIと数値は同じだ。
α7R IIで採用された5軸の手ブレ補正機構が搭載されなかったのは残念だが、コントラスト検出方式のAFに加えて像面位相差検出も備えた「ファストハイブリッドAF」は採用されている。
検出ポイント数は399点、撮像エリアの約45%をカバーする像面位相差検出AFセンサーと25点のコントラスト検出方式AFとでAFの動作速度と精度は大幅に向上し、従来モデルから約30%高速化している。また新たに追従可能なコンティニュアスAFも可能になりAF追従しながらでも秒間5コマの連写が可能になっている。
従来モデルでも決して遅くはなかったのだが、ファストハイブリッドAFの効果は使うと実感できるスピードになっている。
今まではカメラの性質上、急いで撮るよりはじっくり構えて落ち着いてシャッターを切るという意識が働き、AFの動作スピードが遅くてもストレスを感じるような事はなかったが、本機では咄嗟のシャッターチャンスにも強くなった感じで、フレーミングを決めたらもうピントが合っているといった印象。大げさに言えば、AFが動いてるのを意識しないで撮影を行なうことが可能になっている。
(次ページに続く、「ストロボに代わってポップアップ式のEVFを装備」)