クラウドネイティブに向けて自由度を高めたIIJ GIO P2
こうした動向を踏まえ、11月に発表されたIIJ GIO P2ではパブリッククラウドとプライベートクラウドを単一のプラットフォームに載せ、サービスの自由度や性能、俊敏性、柔軟性などを大幅に強化した。冒頭に登壇し、IIJ GIOや市場の変遷について説明したIIJ 執行役員 プラットフォーム本部長の立久井正和氏は、「IIJ GIO P2やOmnibusの登場によってオンプレミスやパブリックラウドを必要に応じて使い分け、安全に安定的に利用できる環境が整った」と説明する。
IIJ サービス推進本部 GIO推進部 GIO推進課の近藤将吾氏は、IIJ GIO P2のコンセプトについて「これまでのクラウドサービスの弱点を補い、新しい価値を提供するもの」と説明する。パブリッククラウドではサービス選択の幅や高い性能を強化し、プライベートクラウドではオンデマンド性や初期コスト削減などを提供する。これらを1つのクラウドサービスで統合し、今までのクラウドでは難しかったシステムの最適解を出すのが、IIJ GIO P2の価値だという。
IIJ GIO P2では、多種多様なリソースを用意する「パブリックリソース」とVMwareの仮想マシンと物理サーバーを提供する「プライベートリソース」で構成される。
パブリックリソースは完全従量な「ベストエフォートタイプ」、CPU性能を確実に割り当てる「性能保証タイプ」、仮想サーバーでありながら物理サーバーと同じような高いCPU/高いIO性能を実現する「専有タイプ」の3つを用意する。これらのタイプはコントロールパネル上から混在させたり、切り替えることが可能。OSやスペックも幅広く揃えられており、ストレージオプションも数多く用意されている。
一方のプライベートリソースは、コントロールパネルからVMwareの仮想プラットフォームやベアメタル(物理サーバー)を必要な時に利用できるというサービス。初期費用を0円にし、オンラインオーダー・即日利用が可能。最低利用期間のないメニューも用意されており、プライベートクラウドをアセットレスのパブリッククラウドのように使えるという。
IIJ GIO P2は発表以降、130件近い引き合いを受け、新規顧客の問い合わせも45%にのぼっているという。案件の種別も、B2CのWebシステムより、基幹系システムの割合が増加。オンプレミスとL2延伸し、基幹システムを200台の仮想マシンに載せる案件や、ベストエフォートタイプと性能保証タイプを用途と負荷に応じて切り替えるソーシャルゲーム基盤の案件などが進んでいるという。今後はクラウドネイティブに向けたマルチクラウドの利用が増えると見込まれており、先日発表されたOffice 365の閉域接続も含め、さまざまなクラウドをセキュアに安定して運用できる環境を用意していくという。