「見える」からわかる!システム障害の原因をあぶり出すテク 第5回
ネットワーク機器からフロー情報を取得、分析する「ネットフロー トラフィック・アナライザー」
適切なNW増強計画のために「NTA」でトラフィック量を可視化
2015年12月11日 06時00分更新
使い勝手はシンプルだが、幅広い応用ができるNTA
シンプルな操作でさまざまなトラフィックデータを可視化できるNTAは、幅広く応用できるツールだ。
たとえば冒頭で挙げた「今回のトラブル」のように、拠点間のWAN帯域が十分かどうかを知りたい場合は、各拠点に設置されているWANルーターからフロー情報を取得し、一定期間、時系列グラフ(折れ線グラフ)を使ってトラフィック量の監視を続ければよい。こうすることで、現在の各契約回線が適切かどうか、どの回線から増強すればよいかといった判断が容易になる。
そのほかにも、個々のネットワーク機器(インタフェース)の利用率を監視すれば、ネットワーク機器の容量が十分かどうかを判断することができる。また、しきい値を超える「トップ トーカー(“おしゃべりな人”の意味)」を自動検出する機能を備えるため、特定のユーザーデバイスが大量のトラフィックを送受信し、帯域幅を圧迫しているような場合にも解決が容易になる。「あるユーザーデバイスが、Youtubeにばかりアクセスしている」ようなケースも見つかるかもしれない。
ちなみにNTAは、取得したすべてのフロー情報をデータベースに保存することもできるが、多岐にわたるフローのほとんどは流量が少なく、解析や監視のうえでは意味をなさないことが多い。そこでNTAでは、保存対象を「トラフィック量の上位○%のみ」に制限する機能(トップ トーカー最適化機能)を備えている。この機能を活用することで、データベース保存容量が大幅に削減され、データ解析のパフォーマンスも改善される。
「QoEダッシュボード」との組み合わせでより強力なツールに
このように、NTAはIP層やTCP/UDP層(レイヤー3-4)のフロー情報を取得し、柔軟に可視化できるツールだ。一方で、本連載の第2回で紹介したNPMの「QoEダッシュボード」機能は、それよりも上のレイヤーでネットワークの利用状況を可視化する。つまり両者は、ツールとして補完しあう関係にある。
たとえば、自社データセンターに設置している業務アプリケーションへのアクセスが遅い場合、まずはQoEダッシュボードからアプリケーションやデータベースの応答時間などがチェックできる。さらに、NTAを使うことで、拠点とデータセンターを結ぶネットワークの状況も可視化できる。NPM/QoEとNTAは、同じコンソールからアクセスできるので、両者を切り替えながらの原因究明も手間がかからない。
NPMに加えてNTAを導入することで、ネットワーク状態の可視化がもたらすメリットをさらに高めることができるわけだ。
※注:本記事中で使用している画面はデモ環境のものであり、実際の通信環境とは異なります。
(提供:ソーラーウインズ)
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