寝耳に水! Ustream Asiaがアジアから撤退。国内Ustreamサービスはどうなる?
ネットライブ動画の雄、Ustream(ユーストリーム)の日本法人・Ustream Asiaが撤退する見込みとなりました。
発表があったのは12月1日の15時のこと。Ustreamユーザーあてのメールと、自社ウェブサイトで以下のように発表されている。
==以下引用===
2010年5月よりUstream Asiaが日本・韓国を含むアジア地域においてサービス運営を行ってまいりましたライブ映像配信サービス「Ustream」は、商品体系を全世界で統一するため2016年2月1日から米国Ustream, Incによる直接運営に移管することになりました。
現在、アドフリープラス、プレミアムメンバー、無料プランでご利用いただいているお客さまにおかれましては、2016年2月1日以降もこれまで通りにサービスをご利用いただくことができるよう準備中です。また、Ustream Bizプランおよび請求書払いのアドフリープラスをご利用のお客さまには別途担当者がご案内いたします。
(中略)
- 移管先:米国Ustream, Inc
- 移管日:2016年2月1日より、米国Ustream, Incで運営開始
==引用ここまで==
日本と韓国を含むアジア地域を運営してきたUstream Asiaでのサービスが、本国アメリカのUstream, Incに移行されることになった、というメールです。今まで日本のUstreamは、アメリカでのUstreamのサービス利用しながらも、有料サービス・トップページ・ソーシャルメディアとの連携など、独自サービスをプラスして提供されてきました。これがなくなり、アメリカのUstream, Incに統一されることになります。
Ustreamのサービスそのものは、今後も日本から利用できます。しかし事実上は「日本からのUstream撤退」と考えてもいいでしょう。
ソフトバンク広報は「Ustream Asiaがなくなるかどうかはわからない」「出資比率は変わらない」
これについてソフトバンク広報に問い合わせたところ、以下のようにコメントを得ました(12月1日15時30分)。
「Ustream Asiaがなくなるかどうかは、まだわからない。Ustream, Incへのサービス移行になるのでお客様宛てにメールでお伝えした。今のところプレスリリースを出す予定はない。」
日本・アジアの法人であるUstream Asiaがなくなるとは発表されておらず、そのためソフトバンクとしてのプレスリリースは出していないとのことです。
ただしUstream Asiaが行ってきたサービス・業務を本国に移行するということは、Ustream Asiaでの業務がなくなることになります。最終的にはUstream Asiaはなくなり、日本や韓国での独自サービスはなくなると考えてもいいでしょう。
ソフトバンクはアメリカのUstream, Incに対して、資本金の20%を出資しています。これについて広報部は「出資比率は変わらない」 としています。
2010年のブームから5年。
スマートフォン対応・日本対応が遅れ、ライバルに先行を許す
Ustreamの日本法人、Ustream Asiaができたのは2010年5月のこと。ソフトバンク・孫正義社長の肝入りでスタートし、ライブメディア(インターネットでの動画生放送)のブームを作りました。それから5年6ヶ月で、日本法人が撤退することになります。
筆者はUstream上で「UstToday」という情報番組を制作していることもあって、Ustreamの栄枯盛衰を見てきました。2010年の大ブームから、震災でのテレビ同時送信で大きく普及し、「これからはネット動画メディアの時代だ」と思ったものです。
しかしライバルのサービスが続々と登場し、少しずつ勢いを失ってきたのは事実です。当初からのライバル、ニコニコ動画のニコニコ生放送の人気が高まったこと、スマートフォンではツイキャスことTwitcastingが圧倒的人気を集め、さらに動画メディアの王様・YouTubeがYouTube Liveを始めたことで大規模なライブ・企業配信もYouTubeに後れを取ってしまっています。
当初はアメリカ・Ustream, Incのサービスを日本向けにカスタマイズして普及を目指していましたが、3年ほど前からサービスの改悪が何度か行われていたのです。
- 動画広告の途中挿入(2014年頃から)
- 録画ファイルの1ヵ月保存制限(それまでは無制限、2014年から)
- チャンネル作成の制限、URL任意選択の廃止(2013年頃から)
など、便利で使いやすかったサービスが、徐々に廃止されています。これでは日本でのUstreamは利用者が減るばかりだろうと危惧してきました。
しかしUstream Asia自体がなくなるとは、寝耳に水でした。孫社長の肝いりで始まったこともあって、そう簡単にサービスをやめることはないと考えていたからです。
Ustream自体が今すぐなくなるわけではなく、日本からでもUstreamの利用は続けることが可能です。しかしながら日本での独自サービスがなくなることで、今後は国内の利用が少なくなることは確かでしょう。とても残念であると同時に、自分が関わっているUstreamの情報番組をどうするか、途方に暮れている状態です。
Ustream Asiaがどうなるのか、今後のサービスはどのように変化するかは、詳しい発表を待って続報します。