新ブランドNetStor/DataStor、法人向けエントリーNAS市場で「国内シェア20%を」
一挙に10モデル、エレコムが法人向けNAS新製品を発表
2015年10月28日 06時00分更新
エレコムは10月27日、法人向けNASの新製品として、Linux搭載NASの「NetStorシリーズ」とWindows Storage Server 2012 R2搭載NAS「DataStorシリーズ」を発表した。エントリーからハイパフォーマンスまでを広くカバーし、法人向けNAS市場でのシェア獲得を目指す。
SOHO向けモデルでも上位モデルと同じ機能を提供、Linux NAS
Linux NASのNetStorシリーズでは、同社Linux NASで初となるラックマウント型から、SOHOでも手軽に導入できる1ドライブ型まで、6シリーズをラインアップしている。
1Uラックマウント型/4ドライブモデル「NSB-76SRシリーズ」、ボックス型/4ドライブモデル「NSB-76SBシリーズ」は、100ユーザーまでのオフィス向けLinux NAS。いずれもインテルのBroadwell Celeron Dual Core(1.6GHz)CPU、2GBメモリ、ギガビットEthernetポート×2ポートを搭載する。標準価格(税込)は、14万9040円(4TB、NSB-76SB)から31万5360円(16TB、NSB-76SR)。発売予定は2016年2月。
50ユーザーまでのオフィス向けLinux NASとしては、ボックス型で4ドライブの「NSB-56SBシリーズ」と、2ドライブの「NSB-5MSBシリーズ」がある。マーベルのARMADA385(1.6GHz)CPU、1GBメモリ、ギガビットEthernetポート×2を搭載。標準価格は、7万4520円(2TB、NSB-5MSB)から24万6240円(16TB、NSB-56SB)。発売予定は2016年2月。
さらに20ユーザーまでのSOHO/オフィス向けエントリーモデルとして、2ドライブの「NSB-3MSVシリーズ」および1ドライブの「NSB-3NRVシリーズ」も発表された。Cortina CS7542 CPU、1GBメモリ、ギガビットEthernetポート×4を搭載。標準価格は、3万7584円(1TB、NSB-3NRV)から9万6984円(4TB、NSB-3MSV)。発売予定は今年12月。
なおNSB-3MSV/3MRVシリーズは、ユーザー自身によるドライブ交換には対応していないが、ドライブ障害時にはオンサイト保守やセンドバック保守などの方法でエレコムによるHDD交換を受けることが可能。
また上述したLinux NASでは、すべてのモデルでNAS専用HDDの「WD REDシリーズ」を採用しているほか、RAID(対応レベルはドライブ数により異なる)、レプリケーション/フェイルオーバー、Active Direcroty連携、クラウドバックアップ、ハードウェア暗号化、外出先からのリモートファイルアクセス(WebDAV)などの機能も、共通で標準対応となっている。
SSD書き込みキャッシュ搭載の高速モデルも、Windows NAS
Windows Storage Server 2012 R2 NASのDataStorでは、300ユーザー規模に対応するラックマウント型が2シリーズ、50~100ユーザー規模向けのボックス型が2シリーズ発表された。いずれも発売予定は2016年2月。
2Uラックマウント型/12ドライブモデルでは「NSB-96SRWシリーズ」と「NSB-96SRWSシリーズ」がラインアップされている。いずれもインテルHaswell Core i3 Dual Core(3.5GHz)、8GBメモリ、ギガビットEthernetポート×4を搭載。
両者の違いは、NSB-96SRWがハードウェアRAIDを搭載する一方、NSB-96SRWSは書き込みキャッシュ用SSDを搭載し、データアクセスを高速化している点だ。標準価格は、NSB-96SRWが96万9840円(24TB)から138万2400円(48TB)、NSB-96SRWSが96万9840円(18TB)から107万7840円(27TB)。
ボックス型/4ドライブの「NSB-75SCS2」は100ユーザー規模、「NSB-75SCW2」は50ユーザー規模に対応したWindows NAS。VIA CPU、4GBメモリ、ギガビットEthernetポート×2を搭載。標準価格は20万5200円(4TB、NSB-75SCW2)から54万円(24TB、NSB-75SCS2)。
Windows NASでも前述のLinux NASと同様の基本機能を備えるほか、アンチウイルスソフトなどのWindowsソフトウェアへの対応、OSのみの初期化(リカバリ)機能などが備わっている。
「法人の、法人による、法人のためのNASを提案する」
発表会に出席した同社取締役社長の葉田順治氏、常務取締役 商品開発部長の梶浦幸二氏とも、現在のエレコムは基盤事業に加え、「IoTやエンベデッド(組み込み)」を中心とした新分野での事業拡大にも注力していると語った。「新分野への事業拡大を考えても、ネットワーク関連の事業は大事だと考えている」(梶浦氏)。
また同社商品開発部 開発4課長の門脇洋之氏は、国内の法人向けエントリークラスNAS市場は200億円程度の規模だが、競合である大手2社がシェアの過半を占めていると説明。エレコムとしてこの市場に切り込み、「来年度で20%のシェアを獲得したい」(同氏)と目標を語った。
このシェア獲得策について門脇氏は、同市場では法人向けの機能や品質を備えていないコンシューマー向けのNAS製品が多く売れていると分析。したがって、法人向けの機能、サポート、保守メニューを揃え、「法人の、法人による、法人のためのNASを提案」していく戦略であり、今回の法人向けNASがそれであると説明した。
また商品開発部 開発4課の二松光氏は、今回発表した新しいNAS製品は、オフィス向けのファイルサーバーとしてだけでなく、防犯カメラ(サーベイランス)用のレコーダー(NVR)としての需要も考えられることを説明。今後、ファームウェア更新によるIPカメラサーバー機能の追加や、同社IPカメラとのパッケージ化、NVR専用モデルのリリースなども検討していくとした。