地球生命38億年(または40億年)の進化と言われるが、41億年前だったかも知れない
41億年の昔、冥王(ハデス)の時代に原初生命が存在か?
2015年10月21日 18時46分更新
カリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究者などが発表した研究論文が10月19日に発表した論文が注目されている。41億年前という、これまで考えられていた時代よりも数億年遡る地球に生命が誕生していた可能性がある。
地球の生命は38~40億年ほど前に誕生したと言われているが、それより以前(地球ができてから生命が誕生するまでの時代)である冥王代(ハデス・エオン)は、どのような時代であるかはいまだにわかっていない部分が多い。地球の形成が45~46億年前とされ、冥王代後期も多数の隕石落下(後期重爆撃期)やマグマ噴出による地表形成が行われている最中なので地層もなく、当時の岩と断定できるものも存在しない。冥王代の痕跡としての残るのはジルコン(珪素の鉱物)で、現在でも地表近くで発見されるものにより地表形成や隕石落下のようすが大まかに推測できる程度となっている。
今回発表された論文は、これらジルコン鉱石の内部にある炭素の小球(高熱と圧力により黒鉛になっている)で、結晶内部なので外部からは隔離されており、当時の状況がそのまま保存されている。推測されるこの時代の大気や海の組成からすれば、炭素の塊は生物由来の有機物と考えられるというもの。
38億年前(~40億年前)とされていた生物の起源がさらに大きく遡るというのは大きな発見であることは間違いない。とはいえ、地表の多くがクレーターとマグマにあふれた時代に生命があったのかどうか、ジルコン鉱石は一度マグマの中に埋もれてから地表に出てきており、黒鉛化しているとはいえ生物由来の炭素がそのプロセスに耐えられるかどうかも不明など、疑問視する声もある。
研究グループでは、現在分析したサンプルは少数だが、同種の冥王代を起源とするジルコン鉱物はいくつもあることから、追加サンプルの分析が進めば新たな知見が得られるとして、研究が進むことを期待している。いずれにせよ、未解明な部分が多い初期の地球、そして地球生命の起源を探索としては大きな知見の広がりと言えよう。