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未来的なメールの使い方を創造する

Inboxを開発したグーグルの中の人にいろいろと聞いてみた

2015年10月16日 19時00分更新

文● 柳谷智宣 編集●飯島恵里子/ASCII.jp

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スターはどこに? MailboxとUIが似てない?
気になる質問を聞いてみた

 Inboxは最初は招待制で、一般ユーザーは半年以上利用できなかった。登場当初は話題を集めたのだが、そのうち下火になり、今年5月の一般公開時には忘れられた感じになっていた。現在もGmailクライアントとしては、認知度が低めだ。そこで、どうして招待制にしたのか聞いてみた。

「我々は、Inboxが非常に大きな変化であるととらえていて、ユーザーからのフィードバックは極めて重要であると考えていました。そのため、少人数のブロックに開放することで、改善を続けました」

 招待制でフィードバックを集めた結果、一般開放の際にはニーズの高かったタブレットや他社ブラウザーへの対応といった改善が行えたという。また、Inboxチームにとって、ユーザーからのフィードバックの中には想像外の要望が2つあった。1つは、Inboxは当初プライベートユースを想定していたが、仕事のアカウントで使いたいというリクエスト。2つ目は、電子署名を追加してほしいというリクエストも多かったという。Inboxの情報処理の手法が、効率的であると感じたユーザーが多かったのだろう。そのため、開発チームは予定よりも早くこれらの機能を導入することになったのだ。

Inboxは、スマホやタブレット、パソコンのブラウザーで利用できる

 また、Inboxのリリースを知ったときに筆者は疑問に思ったのだが、なぜGmailを改善するという手法を取らなかったのだろうか? これに対し、シャリーニさんは

「Inobxにおいて我々が目指しているのは、今後10年間において何が必要であるかです。Gmailは現在9億人が使っており、メールプロダクトとしては最高のものですが、過去10年間に何が必要であったか、というものに制約を受けないようにしたいと考えたのです」

 過去10年に必要とされたものではなく、今後10年間に必要なものを作り出したい、というセリフがさらっと出てくることに感動してしまった。また、GmailはInboxと併用することはできるが、推奨はしていないという。現在のGmailに完全に満足しているなら、そのまま使い続けることを勧めている。しかし、もし忘れてはいけないことを忘れてしまったり、何か操作にストレスを感じていたり、もっと仕事でタスクを処理しなければならないなら、Inboxを勧めるという。

 パソコンのブラウザーでInboxを使うときは、スマートフォンで先に認証する必要がある。これは、パソコンとモバイルとの相互運用性を試してほしいから、採用しているとのこと。また、現在Google Apps for WorkでもInboxを利用できるが、Google Apps for EducationやGoogle Apps for Governmentで使えないことに関しては、正式リリースはしていないものの、いずれは対応するそうだ。

2013年2月に公開され、先着順で利用できるまでの待機順番が表示されることでも話題を呼んだMailbox

 2013年に「Mailbox」(「第32回 受信箱を空にするメールアプリ「Mailbox」を徹底解説」を参照)というアプリが他社からリリースされた。iPhone用のメールアプリで、Gmailに対応していた(現在はiCloudやYahooメールなどにも対応)。UIが似ており、後回しにするメールをスヌーズできる点も似ている。Inboxが公開されたのは、Mailboxの 20ヵ月後。ちょっとは参考にしたりしたのだろうか?

「Mailboxがローンチされる2年以上前から、Inboxを開発しています。当然ながら、他社が何を手掛けているのかは見ているわけです。しかし、何よりも我々が重視しているのは、ユーザーニーズをどうやって満たすか、という点です。さらに、MailboxはGmail上で構築されているので、似通った点があるのは驚くことではありません」

 ちょっと失礼な質問かな、とも思ったが正面から打ち返してきて、グーグルの自信のほどが伺えた。ちなみに、Mailboxを開発したOrchestra社は、リリースの翌月にDropboxに1億ドルで買収されている。

 また、同席にした私の担当編集者も、どうしても気になる質問をぶつけた。普段から、Gmailアプリを使っており、中でも「スター」機能を活用しているという。Inboxにはスター機能がないので、移行できない、というものだ。なぜスター機能を排除したのだろうか?

「スターの目的は需要なタスクを知らせる、ということです。その解決方法を考え、リマインダーやハイライト、スヌーズといった機能を開発しました。そのため、あえてスター機能を移植しませんでした。しかし、いずれ簡単にスターを同期することができ、両アプリの問題を解決できるということであれば、実現するということは考えられます」

 とのこと。ぜひ期待したいところだ。

 InboxアプリはAndroid端末とiPhone・iPadで無料公開されており、パソコンのブラウザーではChromeをはじめSafari、Firefoxの最新バージョンに対応している。まだ使ったことがない人は、試してみよう。メールとタスクをシームレスに処理できる便利さを体感してほしい。ちなみに、Windows 10のEdgeブラウザーはまだサポートされていない。

 ちょっと聞きにくい質問や無茶ぶりにも付き合っていただき、約1時間も濃厚なお話を伺うことができた。次回は、シャリーニさんに教えてもらった特徴機能の使い方を、実際にInboxの画面を使って紹介する。


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