デルは10月13日、同社が中心となってオープン/標準化技術の検証と技術情報の一般公開などを行う「Open Standard Cloud Association(OSCA)」の活動について、従来のクラウド領域に加え、新たに“OSCA 2.0”として「Software-Defined X(SDx)」「IoT」各領域での取り組みも開始すると発表した。
デルでは2012年2月、オープンで標準化された技術に基づくクラウドコンピューティング環境の普及促進を目的として、インテルやヴイエムウェア、レッドハット、NTTデータ、WIDEプロジェクトなど13社/団体が加盟するOSCAを立ち上げた。
OSCA理事会の会長であるデルの町田栄作氏は、これまで約3年半の活動を通じて、OSCAでは73件のセミナーイベントを開催し、32件のホワイトペーパーやリファレンスアーキテクチャを公開できたと説明する。13社からスタートしたOSCAの会員企業/団体は、現在21社まで拡大しており、エコシステムパートナーの「守備範囲」も確実に広がって来ている、と町田氏。
「立ち上げ時にも説明したが、OSCAは単なるコンソーシアムではなく、ビジネス、お金儲けをするための会だ」と町田氏が語るとおり、OSCAにおける取り組みは具体的なビジネス成果にも結びついている。「OSCA関連ビジネスは(FY13からの3年間で)年平均26%の伸びを記録している。特に、HadoopやOpenStackが、その成長を牽引している」(同氏)。
具体的な導入事例としても、OpenStackを採用した国立情報学研究所(NII)のインタークラウド基盤整備、OpenStack仮想ネットワークの開発環境としてデル+レッドハット環境を検証、採用したミドクラなどがすでに公表されている。
また、会員企業であるインテルから出席した田口栄治氏は、「IoT時代には総合的な対応力が要求される」と述べ、OSCA 2.0の取り組みではクラウドインフラだけでなく、より広範なエンドトゥエンドでの取り組みを大事にしていきたいと語った。
NFV、インメモリ、機械学習など、技術検証の幅をさらに広げて
対応領域の拡大に合わせ、OSCA 2.0では「オープン・クラウド・コンピューティング」「オープン・ネットワーキング」「ビッグデータ分析」の3つの技術軸を展開していく。発表会では、各分科会代表者が注力していくポイントを紹介した。
オープンなクラウド基盤の分野では、多様なインフラコンポーネントが“ハイブリッド化”するため、分散環境モニタリングやリソーススケジューリングの技術検証を行う。また、IoT時代には多様なワークロードが稼働することになることから、コンテナ技術の検証にも注力していくとした。
オープンネットワーキングでは、「ハードウェア選択に左右されない、より迅速にサービスが実現できるネットワーク」(WIDEプロジェクト関谷氏)の実現に向けて、アーキテクチャやパフォーマンスの検証を行う。また、信頼性や性能、拡張性、即時性を実現するため、ネットワークとNFVとの融合についても技術検討を重ねていく。
最後に、データ分析の領域においては、インメモリデータ分析や機械学習/ディープラーニング、Software-Defined Storage(SDS)といった技術要素の検証に取り組むとした。
「現在は、大体月に一回くらいのペースで技術検討会を行っているが、今後もさらに新しい技術が追加されいく。われわれとしては、まだまだやることは一杯あると考えている」(デル 増月氏)