スウェーデンのウプサラ大学の研究グループは10月8日、新たに発見した「ゾンビ太陽電池」について研究開発中だと発表した。本来発電するはずのない太陽電池が作動し、効率も向上しているという。
研究グループは色素増感型太陽電池の研究を行なっており、古くて電解質が乾燥してしまった太陽電池を試験してみたところ、機能していることを発見したという。色素増感型太陽電池は電極の間に液体の電解質を必要とするため、イオンを移動する媒体である電解質なしに作動していること自体奇妙な現象だが、いくつかの太陽電池は従来よりも8%程度効率が向上していたという。
乾燥した電解質でも太陽電池が動作する原理は、どうやらプラスの電荷を移動させるホール伝導構造ができたものと考えられる。研究グループでは乾燥した色素増感太陽電池を「ゾンビ太陽電池(Zombie solar cells)」と呼んで再現や製造方法、耐久性などの検証を進めている。
液体の電解質は漏れや腐食の原因になるなど扱いにくいため、最近では固体(ゲル化)電解質の研究が主流となっている。ゾンビ太陽電池は、この電解質のゲル化方法として非常に簡単な手段を発見したものと考えられる。研究グループでは、色素増感太陽電池の特長であるコストの安さに加えて扱いやすさや出力が見込めれば実用化に期待できるとしている。