CEATEC JAPAN 2015の初日となった10月7日、会場には主要企業各社のトップなどが相次いで訪れた。
そうした中、パナソニックの津賀一宏社長が報道陣の取材に応じ、「CEATECの展示から撤退したり、一時的に休止する企業もあるが、パナソニックは昨年より大きなブースを構えて、こうした機会を生かして我々の目指す姿を見ていただく場にした」とコメント。「顧客が求める新たな生活に根ざした提案をしていく限り、展示の需要や価値があると考えている」などと述べた。
米国で開催されているInternational CESや、ドイツで開催されているIFAでは過去最高の出展社数の更新が続く中、CEATEC JAPANでは、一昨年に日立製作所が、昨年はソニーが、今年は東芝が出展を取りやめるなど、大手企業の不参加が目立っている。総出展社数も、昨年の547社・団体から、今年は531社・団体に縮小している。
津賀社長は、「パナソニックは、CESやIFAには積極的にブースを構えている。CESでは、BtoBを前面に打ち出したり、ベンチャー企業との連携を見せたりといったことをやっている。また欧州では、AV、カメラの販売比率が高いが、IFAでは、今後のニーズを捉えて白物家電・調理家電・理美容家電を展示している。日本では家電事業が好調であり、前年比で上振れして推移している」などとし、今回のCEATEC JAPAN 2015の同社ブースにおいて、白物家電や4Kテレビなどの展示に力を入れた理由にも触れた。
パナソニックでは、家電事業に加えて、今後の成長の柱として住宅関連事業、自動車関連事業を位置づけているが、それぞれに懸念材料が噴出し始めている。
住宅関連事業の中国市場減速
住宅関連事業では、中国市場の減速だ。
「中国市場の景気減速の影響が住宅関係で出ている。不動産関係は厳しい状況が続くと見ており、質的転換が必要になるだろう。中国市場のマイナス分を他の市場でカバーすることも必要だろう」とした。
また、中国市場においては、エアコンの市場在庫が膨らんでいることも懸念材料のひとつと指摘。「当社の在庫はいいが、中国メーカーの在庫が積みあがっている。これを処分するために安売りが想定され、健全な形で売ることができない。長い目で見て、きっちりと販売していくことが必要。エアコンのニーズはかなり大きなものがあるので、セグメントをはっきりとすることで、我々の製品を流していくことができる。
商品力は強化したが、販売力に課題がある。商品力、販売力のそれぞれの強化を繰り返すことで、シェアをあげていくという地道な努力が必要」とした。
フォルクスワーゲンの影響
一方で、フォルクスワーゲンの影響については、「アウディを含めて、どんな影響があるのかわからない。どんな部品、どんなサブシステムを納めているのかといった部分の話もある。フォルクスワーゲンとのビジネスでの影響はあるかもしれないが、他メーカーのクルマが売れる可能性もある。他社ともビジネスをやっているので、トータルでみないと当社の自動車関連ビジネスへの影響はわからない」などと述べた。
また、トヨタ自動車が発表した2020年を目標にした自動運転については、「自動運転は、長い目で見た話である。目指す姿がどんな姿なのかということや、国の規制、ユーザーの要求によって完成していくことになるだろう。だが、1社で自動運転ができるとは思っていない。パナソニックとしても、技術を前に進めていくことには変わりがない。だが、技術はあるが、経験がない部分もある。安心・安全に関わるような事業をしているティア1メーカーとパートナーシップを確立したり、M&Aによって資本を投下するなど、事業を強みにしていくことも必要だ」と明かした。
このほか初日午前中には、各社トップもCEATEC会場を訪れた。その様子を写真で紹介する。