電池寿命という“ある一定期間”が経過すると、自然と停止してしまうのがバッテリー駆動のクォーツウォッチの宿命だ。
世界で愛用されている腕時計のうち、いったいどのくらいの腕時計がクォーツ駆動技術を採用した腕時計なのかまったく知らないが、筆者個人のコレクションでも最近はかなりの高比率だ。
クォーツ腕時計はかつて、腕時計の最大要件の一つでもあった“正確性”を実現した立役者だ。しかし、エネルギーはいつしかなくなり、電池交換という作業が発生する面倒でランニングコストのかかる腕時計でもある。
一つの腕時計なら交換も短くて1年に一回、長ければ数年に一回ということになるが、腕時計のコレクションが増えてくるとその頻度は上がり、バッテリー交換コストも馬鹿にならない。
そういうわずらわしさをわかっていながら、またしても筆者のバッテリー駆動腕時計のコレクションが一個増えてしまった。今回、衝動買いしたのは米国のThinkGeekが販売している「TESLA」(以降テスラ、磁束密度の単位)という不必要に大きな腕時計だ。
知人から、友人が怪しい腕時計を企画してすでに販売している……との情報を頂き、8月末に注文、国際宅急便で9月初めに入手し、この約1ヵ月間使ってみた。
「日腕時計」と並ぶおバカ系腕時計が登場!
外装パッケージはジョーク的かつコミック系腕時計大好きユーザーなら誰もが知ってる“フォッシル”のようなブリキ缶パッケージだ。フタを開けると、テスラ本体と柱時計のゼンマイを巻くキーのミニチュアモデルのようなモノがまず目につく。
昨今の日本、以前とは打って変わって、急激に成人度の高い真面目な腕時計が市場を席巻している。国内で人気の高い腕時計は、どちらかと言えばシックでシンプル、ミニマルデザイン系、そして無駄のないジャーマンデザイン系、多少、時刻の表示形式に凝っても小うるさいウンチク樹立系が多い。
一方、今回紹介するテスラは、誰が見ても明快な「おバカ系」腕時計なのだ。そのおバカ度は、筆者が10年近く愛用しているフォッシルの「日腕時計」に追いつき、追い抜くほどのパワーを感じてしまう。
おバカ度を加速するのは、テスラの本体上部からニョキッと伸びた目的不明の2本の真空管もどき。腕時計本体の重量も横綱級で世界最大の「G-SHOCK」を抜き実測133gだった。そしてテスラの何よりの特徴は、H・G・ウエルズやジュール・ベルヌの小説の主人公が腕に装着してそうなその“スティームパンク”系の外装デザインだ。
スチームパンクそのものではなく、ミーハー的にスティームパンク系デザインが好きな筆者は、以前も「真空管型USBメモリー」を衝動買いしたことがあった(関連記事)。
そのUSBメモリーと比較して、テスラはエイジド表面処理において若干のこだわりマインドが足りない感じはするが、販売価格を考えれば十分に納得できる仕上がりのよさだ。
次ページへ続く、「何の役にもたたない“なんちゃって真空管”でも、光るとドヤ顔に!」
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