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T教授の「戦略的衝動買い」 第350回

なんちゃって真空管がウルトラ級! おバカ系の「テスラ腕時計」を衝動買い!!

2015年10月07日 12時00分更新

文● T教授、撮影● T教授

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何の役にもたたない“なんちゃって真空管”
でも、光るとドヤ顔に!

酸化銀ボタン電池である「SR626W」と「SR521SW」を時針分針用と秒針用に分業。そして変態的に3個目の「CR2032」リチウムボタン電池まで全部で3個も使ってることに正直シビレてしまう

酸化銀ボタン電池である「SR626W」と「SR521SW」を時針分針用と秒針用に分業。そして変態的に3個目の「CR2032」リチウムボタン電池まで全部で3個も使ってることに正直シビレてしまう

 最近の腕時計にはよくある製造形態だが、テスラも内部のクォーツムーブメントは日本製、組み立ては中国本土で行なわれているようだ。

 駆動方式はごく一般的なクォーツ腕時計と同じだが、2個の酸化銀ボタン電池である「SR626W」(時分用)と「SR521SW」(秒針用)で分業している。そして、より変則的なのは、それらとは別に「CR2032」リチウムボタン電池を余分に使っていることだ。

 CR2032は、テスラからツノのように生えている2本の“なんちゃって真空管”内部にインテグレーションされたLEDを点灯させるためだけに使われている。

普通の成人男子の腕ならテスラは溢れてしまいそう。2本の真空管が光ると、自然と“ドヤ顔”になりそうな貴兄向き商品だ。左の小さな丸が秒針、中央の大きな丸が時針と分針、2つの丸い窓の針は別々のバッテリーで駆動されている変わり種。そして真空管もどきのLEDランプもまた別のバッテリーで光る

普通の成人男子の腕ならテスラは溢れてしまいそう。2本の真空管が光ると、自然と“ドヤ顔”になりそうな貴兄向き商品だ。左の小さな丸が秒針、中央の大きな丸が時針と分針、2つの丸い窓の針は別々のバッテリーで駆動されている変わり種。そして真空管もどきのLEDランプもまた別のバッテリーで光る

 テスラの12時インデックスのすぐ上にあるON/OFFスライドスイッチを右側のONの方向に倒すと、自動的に2本のなんちゃって真空管が淡いオレンジ色の光を発する仕組みだ。

残念ながら真空管は12時インデックスの上にあるON/OFFスイッチを指先でスライドしなくてはならない

残念ながら真空管は12時インデックスの上にあるON/OFFスイッチを指先でスライドしなくてはならない

でも、無事光るとドヤ顔だ。約5秒で自動消灯。言っておくが暗闇でオンしても別に文字盤を照らすわけでもなく、周囲を明るくするわけでもない

でも、無事光るとドヤ顔だ。約5秒で自動消灯。言っておくが暗闇でオンしても別に文字盤を照らすわけでもなく、周囲を明るくするわけでもない

 省エネのためになんちゃって真空管は5秒ほど点灯したら、その後は自動的に消灯するように初期出荷設定されており、オーナーが変更することはできない。

 テスラが、長年筆者愛用の日腕時計と並ぶおバカ腕時計の仲間入りができるのは、この面倒な機構のLEDが一切何の役にも立たないことだ。

 ぼんやり5秒間点灯するLED照明は、周囲を照らせるほどの照度があるわけでもなければ、暗闇で文字盤を見やすくする効能もまったくないのだ。

 今の世の中、何かといえば“コスパ”が大義となり、意味のあるモノや効果のあることにだけ開発努力やコストをかける楽しさや余裕のない商品開発ばかりになってきている。

 そんな時代のど真ん中にいても、テスラは無駄を楽しみ、無意味なことに開発時間やお金をかける姿勢に共感を覚えてしまった。

 しかし、思い切ったおバカ仕様を採用したために、必然的に普通の腕時計とは思えないような不規則で大きな筐体になってしまった。そんなテスラは人が腕に装着するために別の努力や研究もしている。

次ページへ続く、「時刻合わせは特殊な“ネジ巻きキー”が必要 それがまたいい雰囲気を醸し出す

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