国立研究開発法人 情報通信研究機構(NICT)と住友電気工業は10月2日、光ファイバー1本あたりの伝送容量が従来の2倍以上となる2.15ペタ(1000兆)ビット/秒の送受信に成功したと発表した。
従来の光ファイバー伝送容量は1ペタビット/秒が世界最高だったが、NICTでは住友電気工業およびRAM Photonicsと共同で新たに高容量光ファイバーと光通信装置を開発した。従来の19コアから22コアとしており、各コアはシングルモードコアであるため、モード多重伝送で必須となるデジタル信号処理のための機器コストや電力増大が節約できる。
新型光コム光源は、レーザー光の波長多重を極限に高めるため、6.25GHzから400GHzまでの範囲で選択可能な周波数間隔を持つ高コヒーレント光搬送波を生成する。実験では25GHz間隔で399波長の搬送光を一括に生成、高密度な信号伝送が可能なことに加え、既存の波長多重伝送に用いるレーザー光源群に比べて使用電力は1/10になり、機器や電力の節約にもなる。
NICTらでは、距離30kmでの伝送実験で実証を行ない、十分な伝送品質があることを確認した。今後、マルチコア・マルチモード光ファイバー伝送技術の実用化に向け、通信事業者やメーカーと取り組むとともに、さらなる大容量化の研究開発を進めるという。