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路線バスが情報も運ぶ(通信速度はバス次第)

NICT、端末だけで構成される分散型ワイヤレスネットワークを開発、バスで実証実験

2014年05月28日 17時33分更新

文● 行正和義

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端末間通信ネットワークの構成図

   独立行政法人 情報通信研究機構(NICT)は、既存のケーブルや電波基地局といったインフラを必要とせず、端末間の通信だけで構成されるワイヤレスネットワークを開発、実証実験を行う。

 携帯電話網をはじめワイヤレスネットワークのほとんどは基地局やアクセスポイントが中継するしくみだが、大規模災害におけるネットワークインフラの機能停止、容量を超えるアクセス集中による輻輳が起きる可能性もある。

お台場レインボーバスでの実証実験

 NICTが開発したシステムは、端末のワイヤレス通信範囲に入ると自動的にネットワークを形成するもの。端末それぞれにはコンテンツの時間情報を比較する機能を与えて情報の重複を避け、最新のコンテンツに更新する。端末が移動することにより、データは端末から端末へバケツリレー式に運ばれる

精華くるりんバスでの実証実験

 特定のアクセスポイントや中央制御装置を持たず、個々の端末の機能停止がネットワーク全体に影響をおよぼさないなど災害に強いほか、地域内に移動する人やバスを利用した柔軟なネットワークを構成することで地域の情報共有や情報収集が行えるという。

「お台場レインボーバス」と沿線施設に設置した各種端末の例

 NICTでは、東京・お台場の「お台場レインボーバス」とバス停付近に設置したデジタルサイネージ端末を使い、行政サービスや地域イベントの運搬・配送を行う実証実験を開始している。また、京都府精華町けいはんな学研都市地区では「精華くるりんバス」とデジタルサイネージ端末などを使い、同地区各所に設置した温度・湿度・照度など気象情報を収集・運搬する実験を開始した。

 実証実験では、バス搭載やバス停付近のサイネージ端末による地域情報や行政情報の提供、運行情報の提供、GPSを使った運行管理などを確かめるほかデータ収集や情報の拡散効果などを確認する。

 大規模災害に備えて端末同士がバケツリレー式にデータを運ぶ有機的な分散型ネットワークの実験は各所で研究が行われているが、バスという物理的に移動する交通インフラを用いることで、地域情報ネットワークとしても普段から利用できるのは面白い。

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