Mac版も5年ぶり更新、マルチプラットフォーム+クラウドで“どこでもOffice”を
「Office 2016」提供開始、日本MSの平野社長が魅力アピール
2015年09月30日 06時00分更新
日本マイクロソフトは、Microsoft Officeスイートの最新版となる「Office 2016」の一般提供を9月30日より開始する。法人向け、一般向けともに、パブリッククラウドサービス「Office 365」を通じて提供することになる。
Office 2016を構成するソフトウェア/サービスは、法人向けOffice 365ではWord、Excel、Outlook、PowerPoint、OneNote、Publisher、Acessの各デスクトップアプリケーションと、オンラインストレージサービスのOneDrive for Business、さらにSkype for Business、SharePoint Online、Exchange Online、Delve、Yammerなど。一方、一般向けOffice 365では、Word、Excel、Outlook、PowerPoint、OneNote、Publisher、Accessの各アプリケーションと、OneDriveやSkypeなどのサービスが提供される。
ビジネス利用もOK、10.1型以下デバイス向け「Office Mobile」登場
今回のOffice 2016の提供開始に伴い、300人以上の法人向け「Office 365 Enterprise」、および300人未満の法人向けである「Office 365 Business」、個人向けの「Office 365 Solo」および「Office Premium」を通じて提供されるデスクトップアプリケーションも、Office 2016バージョンとなる。
Office Home & Business 2016は、これまでのパッケージ版が廃止され、その代わりにプロダクトキーが書かれたカードを購入するPOSA版、およびダウンロード版が用意される。また、当面はOffice 2013の提供も継続するという。
また、これまで日本市場ではOEMベンダー向けに、10.1型以上のディスプレイを搭載するWindowsデバイス用のプレインストール版製品「Office Premium」を提供してきたが、今回新たに10.1型以下のデバイス向けとなる「Office Mobile」も用意された。ちなみに、10.1型デバイスの場合はOEMベンダーがどちらを選ぶこともできる。
新しいOffice Mobileでは、ビジネス目的でOfficeを利用できる「商用利用権」が付随する点がポイントとなる。これまで10.1型以下のデバイス向けに提供されていたプリインストール版Officeには、商用利用権が付与されていなかった(商用利用する場合は別途Office 365のサブスクリプションが必要だった)。
さらに、5年ぶりのアップデートとなったマック向けの「Office 2016 for Mac」も提供される。
Office 365ユーザーに対しては、すでに9月23日から提供が開始されている。一般向け提供の開始は9月30日から、また法人向けボリュームライセンスは10月1日から。加えて、従来どおり永続ライセンス版のOffice 2016も提供することになる。
価格は、Office Home & Business 2016が3万4800円、Office Personal 2016が2万9800円、Office Professional 2016が5万9800円、Office 365 Soloが1万1800円、Office 365のサービスが利用できるOffice 365 サービスが5800円など。
日本MS 平野社長「Office 2016の特徴は4つある」
プレスカンファレンスに出席した日本マイクロソフトの平野拓也社長は、「マイクロソフトは今年、2つの大きな製品を提供開始した。ひとつがWindows 10であり、もうひとつが今回のOffice 2016である」と挨拶した。
「新たなOfficeには、『チーム利用に最適であること』『Windows 10と完全に連携していること』『やりたいことを先回りしてサポートすること』『最高の安全性を誇るOfficeであること』という4つの特徴がある。そして、これまでのようにバージョンアップまでに3年間待つのではなく、これからは継続的に機能が強化されていくという特徴もある」(平野氏)
さらに平野氏は、WindowsをはじめMacやiOS、Androidでも動作するマルチプラットフォーム対応であることを紹介し、発売されたばかりの「iPhone 6s」でPowerPoint 2016が動作する様子を見せた。加えて「Windows Hello」や「Continuum」といったWindows 10の機能と連携することで、ユーザーがより高い生産性を発揮できることも強調した。「もっとも親和性が高いのは当然、Windows 10だが、クロスプラットフォームで使ってもらいたい」(平野氏)。
また平野氏は、「テレワーク週間」などワークスタイル変革に対する同社の取り組みにも触れた(関連記事)。「時間や空間を超えて働けるテレワークが生産性を高め、人々のアイデアを引き出す。そうした変化を支えるのがOfficeである」(平野氏)。
なお、Office 365の販売実績はパブリッククラウド市場全体の伸び(前年比27%増)と比較して「3倍」の成長を遂げていること、Officeユーザーの半分がクラウドを選択し、利用環境が一気にクラウドへとシフトしていることなどもアピールした。
パートナー各社も「Office 2016」の登場を歓迎
NECパーソナルコンピュータ、ソフトバンク、sMedioの3社が登壇。Officeにおけるパートナーシップについて説明した。
NECパーソナルコンピュータの留目真伸社長は、「NECは、デジタルライフ、デジタルワークを実現するために、デジタルドラマティックデイズを提唱している。パーソナルコンピュータの世界から、パーソナルコンピューティングの世界に移行するなかで、マルチデバイスを活用して、生活、仕事をサポートする世界を実現したい。この取り組みを実現する上で、Windows 10とOffice 365は欠かせない」などとした。
ソフトバンクの主席エヴァンジェリストである中山五輪男氏は、「iPadとSurface 3を持ってデモストレーションをやるのは初めてのこと。時代の変化であり、マルチスマートデバイスの時代がやってきた。iPadは市場の7割を占めていたが、いつのまに2台持ちになったり、ノートPCの機能が欲しいとしてSurfaceのような2in1パソコンが利用されている」と前置きし、「Officeは、どのようなデバイスでも快適に利用できるのが特徴。感激し、歓迎している。日本の企業の生産性を高めることができる。ソフトバンクの法人営業部門を通じて、Surface 3とOfficeを積極的に販売していく」とした。
sMedioの田中俊輔社長は、タッチ操作に最適化したメディアプレーヤー「TrueLink+Hi-Res Edition」を紹介。OneDriveに保存された大容量のハイレゾファイルを、マルチデバイスにおいて、ストリーミングで再生する様子をデモストレーション。「Officeで提供される1TBという大容量を生かしてハイレゾにも対応できる環境が整った。一部メーカーのPCでは夏モデルから搭載されている」という。