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荻窪圭の“這いつくばって猫に近づけ” 第425回

富士フイルム「X-T10」で撮る、鞆の浦と尾道は屋根猫の宝庫!

2015年09月25日 12時00分更新

文● 荻窪圭/猫写真家

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立体迷宮的な街並みが猫にはたまらない!?

 このあたりの猫、人への警戒心が強いようで、次に出会った屋根猫にもギロリとニラまれてしまった。

黒に近いグレー猫が錆びた屋根によく似合う。この猫なら屋根を伝ってどこへでも行けそうな、そんな街並みがよい(2015年9月 富士フイルム X-T10)

黒に近いグレー猫が錆びた屋根によく似合う。この猫なら屋根を伝ってどこへでも行けそうな、そんな街並みがよい(2015年9月 富士フイルム X-T10)

 ひときわ斜面がきついエリアで、ほとんどの家を見下ろせる場所。そこに黒猫が1匹。

 奥までびっしりならんだ新旧住宅に、狭い斜面に住まざるを得なかった先人たちの大変さを感じる。

 自動車なんてない時代にできあがった集落なのでどの道も非常に狭くどの家がどうつながってるのか、いや、どこからどこまでが1軒なのかよくわからず、今歩いてるのが公道なのか民家の裏庭なのかも慣れないとわからない。

 そんな立体迷宮が猫にはたまらないのだ。どこからともなく現われては去って行くのである。

 最後に出会ったのは青い屋根の猫。

 屋根の上で毛繕いしてたのである。

 今日は屋根猫によく会うなあと思いながらカメラを向ける。

青い屋根の上でくつろぐの図。このあたりは港が近くて猫が多いエリアなのだ(2015年9月 富士フイルム X-T10)

青い屋根の上でくつろぐの図。このあたりは港が近くて猫が多いエリアなのだ(2015年9月 富士フイルム X-T10)

 1枚だけじゃなくて、ちょっと構図を変えたり、焦点距離を変えたり、望遠レンズにつけかえて猫にぐっとフォーカスした写真にするか、背景を大きくいれて猫がいる場所の雰囲気がわかるようにするか。

 一瞬で決まるときもあれば、何パターンか撮っておきたくなることもある。

 さてどうしようかな、と思った途端、猫が起き上がり、トコトコとこちらへ寄ってきたのだ。

 これはやばいってんで、慌ててズームを広角側にし、こちらへ飛び移ろうとする猫を追いかけて撮ったのがこちら。

屋根からこちらへぴょんと飛び移った直後の写真。なんとかピントも間に合った(2015年9月 富士フイルム X-T10)

屋根からこちらへぴょんと飛び移った直後の写真。なんとかピントも間に合った(2015年9月 富士フイルム X-T10)

 ちょうど着地の瞬間に間に合ってよかった。想定外の動きをされるととまどいますな。こっちへくるとわかってたら、飛ぶ瞬間を狙えたのに。

 観光スポットに近いゆえ、屋根の上で誰か食べ物をくれる人がくるのを待ち構えてたに違いない。

 私が猫を見つけてカメラを構えたので「お、これは何かもらえるかも」と飛んできたのだろう。

 せっかくやってきたのにあげられるものがなくてすまんかった。

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筆者紹介─荻窪圭


著者近影 荻窪圭

老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/


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