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顧客中心の“IoC”を、セールスフォース「Dreamforce 2015」レポート 第1回

人とモノがつながり、分析から最適なアクションが導かれる世界――Dreamforce 2015レポート

ベニオフCEO、Dreamforceで「顧客のインターネット」を語る

2015年09月18日 09時00分更新

文● 大河原克行 編集●大塚/TECH.ASCII.jp

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企業の関係を分析、営業を支援する「SalesforceIQ」

 もう1つ、新たな製品として「SalesforceIQ」が発表された。これは顧客企業の営業支援ツールで、同社が買収したRelateIQの技術を活用した「Relationship Intelligenceテクノロジー」により、電子メールやカレンダーの中から顧客に関する情報を自動的に収集、データを分析したうえで、顧客とのリレーションシップ強化や販売促進のためのアクションを提案する。

 「Salesforce IQは、中小規模企業向けの製品であるからこそ、簡単に、自動的に使えるものでなくてはならない。CRMとeメール、カレンダーを連動させることで、自動的に、コンタクト先はどこか、どんなディールがあるかを理解できる」(ベニオフCEO)

 中小企業向けの「SalesforceIQ for Small Business」と、同機能を大手企業などでも利用できる「SalesforceIQ for Sales Cloud」が提供される。SalesforceIQ for Small Businessは、米国、カナダ、オーストラリアで一般提供を開始。日本での提供は現時点では未定。料金は1ユーザあたり月額25ドル。また、SalesforceIQ for Sales Cloudは、ベータ版を英語版で提供中。価格は、2016年上半期に予定されている一般提供時に発表する予定だという。

“Lightning”にあわせて、アメコミヒーロー風で登場したパーカー・ハリス氏

 また、共同創業者であるパーカー・ハリス氏が、昨年のDreamforceで身にまとったアメコミのヒーローのようなスーツを進化させ、新調したスーツで登場。昨年発表したLightning(関連記事)の機能強化などについて説明した。

 Lightningの進化についてハリス氏は、「ドラッグ&ドロップによって、開発およびカスタマイズが容易にできること、Lightning Exchangeを通じて50以上のコンポーネンツがパートナーを通じて提供されていること、デスクトップでの活用に加えて、スマホやAppleWatchなどでもLightningが活用できるようになったという特徴を持つ。使い勝手もさらに高めることができた」と語った。

 さらにハリス氏は、Lightningを活用した業界向けアプリとして、金融業界向けのファイナンシャルサービスクラウドと、ヘルスケア業界向けのヘルスクラウドを開発したことにも触れた。今後、業界向けクラウドサービスは増えていくことになりそうだ。

マイクロソフトのトンプソン会長、シスコのロビンスCEOも登壇

 基調講演では、マイクロソフト、シスコシステムズ、ウエスタンユニオンの幹部も登壇し、各社製品との連携や導入事例が紹介された。

米マイクロソフトのジョン・トンプソン会長

 マイクロソフトは、OfficeとSalesforceの連動、SharePointおよびOneDrive for BusinessとSalesforceとの統合、SalesforceのWindows 10対応などを説明した。

 「マイクロソフトとは、すでに数年間に渡った協業の実績があるが、Lightningに、マイクロソフトのサービスを直接統合するといったところまでは考えていなかった。こうした連携がマイクロソフトと可能になり、うれしく思う。マイクロソフトとの協業は、想像以上に成果が出ている」(ベニオフCEO)

米シスコシステムズのチャック・ロビンスCEO

 シスコシステムズでは、1万8000のアカウントをSales Cloudで活用していることや、5万人の社員がApp Cloudを利用していること。四半期ごとにService Cloudで60万事例を利用していることなどを示し、効率的な保守作業につながっていることを紹介した。

 さらにシスコでは、今回発表されたIoT Cloudを先行導入している。同社のスイッチ製品を通じて何兆ものイベントをモニタリングし、それを保守サービスなどに反映しているという。

ウエスタン ユニオンのヒメット・アーセックCEO

 ウエスタン ユニオンでは、Sales Cloud、Marketing Cloud、Community Cloudを活用し、100万人のコミュニティメンバー、500万人のソーシャル登録者を結びながら、モバイルデバイスから簡単に寄付ができる様子などをデモストレーションしてみせた。

* * *

 今回の基調講演は、約2時間30分に及んだものの、最大の目玉となったのがIoT Cloud。同サービスは、Heroku Connectをベースに機能を拡張したものともいえ、例年のような大型プロダクトの発表はなかったといえる。

 だがその一方で、より実務に近い部分での新サービスの提供や、機能の拡張などが発表されたていた。同時に、具体的な事例を紹介するといった側面が強いものになった。製品およびサービスの組み合わせによる強みが、利用現場で発揮されはじめていることが強調された基調講演になったといえそうだ。

Dreamforceのスペシャルゲストとして演奏した、スティービー・ワンダー氏

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