今回のことば
「マイクロソフトやオラクルといった企業のCEOが交代しているのは、新たなビジョンが必要だと感じているからではないか」
(米セールスフォース・ドットコムのマーク・ベニオフ会長兼CEO)
1億ドルの経済効果を持つ、ソフトウェアイベント
米セールスフォース・ドットコムは、2014年10月13日~16日(米国時間)の4日間、米カリフォルニア州サンフランシスコのモスコーニ・コンベンションセンターにおいて、ソフトウェアカンファレンス「Dreamforce 2014」を開催した。
今年で12年目となるDreamforce 2014には、15万以上が登録。全世界500万人がオンラインを通じて同イベントに参加したという。
会期中には1250のセッションを開催。併催された展示会「Dreamforce Cloud Expo」には過去最大となる400社が出展。数多くの最新製品や技術が展示された。
そして、サンフランシスコ市への経済効果は1億ドル(約110億ドル)。まさにIT業界にとって、過去最大のソフトウェアイベントとなった。
米セールスフォース・ドットコムのマーク・ベニオフ会長兼CEOは、会期中に行われた自らの基調講演やゲストによる基調講演に登壇するたびに「これまでで最高のDreamforceになったと思わないか」と聴衆に呼びかけ、Dreamforceの成功ぶりを自ら訴えてみせた。
そのベニオフ会長兼CEOの基調講演でサプライズだったのが、突然、基調講演にザ・ビーチボーイズが登場したことだ。Dreamforceの開催目的のひとつである「楽しむ(Fun)」ことにかけあわせた「fun, fun, fun」、そして、新たに発表したSalesforce Analytics Cloudのプラットフォームである「Wave」を意識して、「Catch a Wave」などを生演奏してみせた。「基調講演にビーチボーイズを呼ぶなんて、いったい誰が考えついたのだろう。それは私だ」と、ベニオフ会長兼CEOは、自画自賛してみせた。
データはどんどん集まる時代だが、どう使えばいいかわからない
今回のDreamforceで最も大きな発表は、Salesforce Analytics Cloudであったといえる。
ベニオフ会長兼CEOは、同社が本格的にアナリティクス分野に進出することを示しながら、次のように語る。
「過去2年間に世の中の90%のデータが生成されており、2020年には構造データは現在の20倍、非構造データは現在の50倍に膨れ上がる。今年夏に欧州を訪れ、数多くの企業を訪問したが、そこで感じたのは、データに関するデバイド(格差)があること。多くの企業は、データを蓄積しているが、それをどう使えばいいのかがわからないという実態があるということだった」
さらに、続けてこう語る。
「マイクロソフトやオラクル、SAPはデータを解析するための技術を用意している。だが、これはいまの世界が生まれる前に開発された古い技術である。データの扱い方についてのブレークスルーが必要である。モバイル、ソーシャル、クラウドといったものを組み合わせて、データを蓄積するところから、利用するところまでのギャップを埋めなくてはならない。我々に必要なのは、それを変えるための波(Wave)である」
こう語り、Salesforce Analytics Cloudが、モバイル、ソーシャル、クラウド時代の新たなアナリティクスツールであることを強調してみせたのだ。
技術変革の時代だからこそ、ビジョンが必要
そして、ベニオフ会長兼CEOは、この技術変化の波と、昨今の相次ぐCEO交代をこう関連させてみせた。
「マイクロソフトやオラクルといった企業のCEOが相次いで代わっているのは、新たなビジョンが必要だと感じているからではないだろうか」
マイクロソフトは、今年2月、スティーブ・バルマー氏がCEOを退き、サティア・ナデラ氏が新たなCEOに就任した。今年9月には、オラクルのラリー・エリソン氏がCEOを退任し、CTOに就任。代わってCEOにはマーク・ハード社長と、サフラ・カッツ氏の2人が就任。そのほかにも、CEOの交代が相次いでいる。昨年はインテルでも、ポール・オッテリーニ氏がCEOを退き、ブライアン・クルザニッチ氏に交代。さらに、シスコシステムズのジョン・チェンバーズ氏もCEO退任の意向を示している。
60歳以上のCEOが退任する一方で、40歳代、50歳代のCEOが台頭してきている。そして発言の主であるベニオフ会長兼CEOも50歳になったところだ。
モバイル、ソーシャル、クラウド時代の到来は、IT産業のCEO交代を促すことになるのか?
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