米国で導入されたiPhone Upgrade ProgramでiPhone 6s Plusを予約した
2015年09月17日 10時00分更新
成熟市場の販売方式? 買い換え促進?
今回の購入時には、4つのものを用意するように注意書きがありました。社会保障番号、生年月日が確認できる身分証明書2通、月々の代金支払いに利用するクレジットカード、そして今使っている携帯電話の4点です。
米国の社会保障番号は本来は年金番号のような位置づけですが、個人が特定できる固有の番号であることから、その人の信用力を表す「クレジットヒストリー」の管理に利用されています。これをAppleが参照して、良好であれば分割払いを組める、という仕組みです。
米国外のApple Storeでサービスを開始できるかどうかが不透明ではありますが、そこまで悲観的であるとは見ていません。米国ではCitizenOneという企業のパーソナルローンサービスを組むことになりますが、日本でもこうしたファイナンス企業との提携によって、同様のサービスを行なうこと自体はできそうです。
また、今使っているスマートフォンは店頭で買い取ってもらえて、新しいiPhoneを購入する費用として利用できるとしています。月々の支払いをその分なくしてくれるのか、過去に利用したことがあるiPhoneの店頭下取りのようにApple Storeのギフトカードとしてもらえるのかは不明です。
この販売方式は、自動車の世界でいえば、残価設定型ローンに似ています。一方、別の見方をすれば、iPhoneというデバイスが月額料金で支払っていく購読型サービスになったとみることもできます。いずれにしても、iPhoneを毎年買い換えるユーザーを増やし、成熟市場での販売台数を落とさない工夫を行う、壮大な実験のように筆者の目には映ります。
9月25日に店頭に行った際には、iPhone 6s Plusの使い勝手とともに、この新販売方式がどのような体験になるのか、チェックしていきたいと思います。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura
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