90年の歴史を持つヘッドフォンメーカーと、
ハイレゾをリードする新進ポータブルメーカーがコラボ
アユートは、「Astell&Kern AK T8iE ブラック」の国内販売を10月下旬に開始すると発表した。価格はオープンプライス。同社直販サイト「アキハバラ e 市場」などで販売する。実売価格は15万円程度(税込)になる見込み。
T1などを手掛けた、ドイツのbeyerdynamic社のエンジニアが設計したダイナミック型イヤフォン。ドイツで手作業で組み立てられる。ケーブルは着脱式で、イヤフォン側との接続はMMCXタイプ。ケーブルは2種類で、プレーヤー側の端子が一般的な直径3.5mm3極タイプのものと、AKシリーズのバランス駆動用に用意した直径2.5mm4極タイプのものが同梱する。音質についてはAK380をリファレンスとした。
Astell&Kernとbeyerdynamicとの協業は「A200P」(AK10を海外向けにbeyerブランドで展開)、「AK T5p」(T5pのAK版)に続く3製品目。3年前から開発を開始。beyer独自のアプローチで高磁束密度を生み出す「テスラテクノロジー」を、フラッグシップモデルのT1用ドライバーと比べて1/16のサイズしかない、インイヤー向けの小型ドライバーで実現した点が特徴。これにより、高い能率が得られ、BA型を思わせる繊細な表現が可能だという。
ドライバーは直径11mmのダイナミック型。インイヤー型としては比較的大型ということもあり、引き締まり芳醇な低域の再現ができるとのこと。ダイヤフラムは1/100mmと非常に薄く、髪の毛の太さの1/5ほど。これが高い解像感と定位感を提供しているという。
生産はドイツ工場で手作業、スイスの時計並みの精密さ
生産はすべてドイツでのハンドメイド。小型の製品となるためアッセンブリはデジタル顕微鏡を使った手作業。多くの部品も自社生産となっており、そのための機械も自社で製造しているという。全数検査の上、出荷され、左右のマッチングを1台1台見るほか、ハウジングを水中に浸して、気泡などが抜けないかを確認するなど、細かなテストを経て出荷される。
独特な形のイヤーチップも特徴的。穴が楕円形で、かつ形状が帽子に似ているのでbeyer社内では、ダースベーダ―ハットと呼ばれているそうだ。これは数千集めた耳型を集めたうえで、従業員の耳を使い何百回もテストを重ね、最終的に絞られた7種類のプロトタイプの中から最適なものを1つ選んだ結果だという。イヤーチップにもこだわっており、シリコンタイプのもので5種類。さらにコンプライタイプも3種類用意する。
本体の表面は3層コーティングで、ベースが銅、これにクロムを重ねている。さらにこの上に蒸着処理を施しているそうだが、詳しくは秘密とのこと。表面が滑らかで傷に対しても強く、かつ冷たくならない。
ケーブルのシースはケブラー素材を使用。さらに柔らかい熱可塑性エラストマーを使用してタッチノイズを軽減している。耳かけ装着でも柔軟に取回せる点がウリだという。丈夫さにもこだわっており、ケーブルで4万回、プラグ部分では10万回の屈曲テストを実施。MMCXプラグは金メッキ処理を施した、最高品質のものとなるという。内部はシンプルな構造だが、テストや技術の重さはこだわりがあるという。