サンリオの礎はソーシャルコミュニケーション
「サンリオはキャラクターの会社のイメージが強いですが、『ギフト』の会社なんですよ」と、白田さんは言っていた。
ソーシャルコミュニケーション、贈りものを誰かにあげて仲良くなるのがサンリオの思想。主役はあくまでギフトという行為自体。キャラクターの形、設計、デザインを固めすぎず、コミュニケーションの形態に合わせて変化させてきた。
つまるところサンリオのキャラクターはコミュニケーションに使われてなんぼ、まるでLINEスタンプのような存在というわけ。
オウンドメディアやソーシャルメディアなどいまや企業のメディア化が騒がれているが、自社メディア『いちご新聞』を発行しつづけているサンリオは消費者とのコミュニケーションを数十年前から当たり前のように続けてきた。
サンリオの社名は『聖なる川』をあらわすSaint Riverから来ているという。
川のほとりに集まった人々が、お互いに思いやりを持ち、仲良く暮らせるコミュニティーを作りたい。そんな思いから設立し、今年創業55年を迎えたサンリオ。いちご新聞でもつねに「仲良く、平和に」を訴えつづけてきた。
サンリオの辻信太郎社長は御年87歳になる。社長は展示会の入り口に、こんなメッセージを記していた。
「今日、世界中でさまざまな悲しい出来事が報じられています。こんな時だからこそ、サンリオは、『みんな なかよく メルヘンの世界へ』をコンセプトに今回の展示会を開催することに致しました」
サンリオが攻めるのは時代に即したコミュニケーションのため。キャラクターの力でコミュニケーションを活性化し、世界を仲良しに、平和にしようと言えてしまう度胸こそ、もっとも“攻めている”ところなのかもしれない。