このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

業界人の《ことば》から 第159回

欧州のコンシューマ製品で177億ユーロの販売目標を掲げる

発表した有機ELテレビは、パナソニックのプラズマテレビを超える深い黒を表現

2015年09月08日 09時00分更新

文● 大河原克行、編集●ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

今回の有機ELテレビは、パナソニックの変化を象徴する

 今回の有機ELテレビ「CZ950」には、2つの大きな意味がある。ひとつは、プラズマテレビ撤退以降、空白となっていたハイエンドテレビの領域に、有機ELテレビという新たな提案をしたことだ。IFAのパナソニックブースにおいて、プラズマテレビとの画質比較を行なったのもそうした姿勢の表れだ。

 もうひとつは、初めて他社から調達したパネルで、フラッグシップ製品を作ったということだ。パナソニックの津賀一宏社長は、「他社のパネルを使い、他社以上のものを出すという新たなビジネスのスタイルを打ち出した。これは、パナソニックのブランドが、よりお客様に向いた形に変化してきた証だと思っている」と位置づける。これはまさに、パナソニックの大きな方向転換を示すものだ。今回の有機ELテレビは、パナソニックの変化を象徴するものだといっていい。

 一方、パナソニックは、昨年のIFA 2014において、プレミアムライフスタイルの提案を宣言したのに続き、今年は、それをさらに進化させたビジョンとして、「Aspire to more」を掲げた。ここでは、パナソニックは、「憧れの暮らし」を実現する企業として、「イノベーション」、「デザイン」、「空間提案」という3つの切り口から、具体的な事例を示してみせた。

 イノベーションでは、センサー技術を活用した洗濯機により、汚れなどを感知し、それに合わせた最適な洗浄を実現していること、ナノイー技術により、髪に潤いやツヤを与えるドライヤーを発売していることを紹介。デザインでは、日本の伝統建築や庭園などの調和美を、パナソニックデザインとして、ビルトインキッチンなどに採用。欧州の住空間との調和を実現ししていることを示したほか、空間提案では、ベッドに寝るだけで、空調、照明、センサーなどと連動した快眠サポートを実現したり、座るだけで、バイタルチェックを行ったり、その日の予定にあわせたメイクをアドバイスするインタラクティブミラーなどを通じて、憧れの生活を実現する様子をみせた。

 「AV、白物家電、空調、照明など、100を超える商品カテゴリーと技術を持つパナソニックだからこそ、単品だけの提案でなく、場の創造を行なえる。他社にはない空間提案が可能になる」とする。

欧州のコンシューマ製品で177億ユーロの販売目標を掲げる

 今回のプレスカンファレンスにおいて、本間社長は、2018年度には、欧州のコンシューマ製品で177億ユーロ(約2兆3500億円)の販売目標を掲げるとともに、アプライアンスの売上高を、2018年までに2倍以上にする目標を打ち出した。そして、「コンシューマ製品を、欧州における次の柱にする」と宣言した。有機ELテレビによる新たなテレビの事業展開に乗り出すほか、白物家電事業においても、「憧れの暮らし」の提案に向けて、パナソニックならではの付加価値を提案する考えだ。

 また、復活から1年を経過したTechnicsについても、新たにグランドクラスを発表するとともに、オールインワンHi-Fiシステム「OTTAVA SC-C500」を発表。いずれも2016年春から、欧州を皮切りに発売する。新開発のダイレクトドライブモーターを搭載した、ダイレクトドライブ方式アナログターンテーブルも、2016年度中に欧州から発売する。

 パナソニックにとって、欧州市場から発信するという新たな提案スタイルが生まれつつある。

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ