2日間に渡り開催されたワークショップ「IDEATHON CHALLENGE KYOTO 2016」は、事務局側にも参加者側にも大きな影響を与えて終了した。今回の取り組みでは、2025年に商品・サービスとして運用しているウェルネスの新サービスプランの企画が行なわれたが、なぜこの取り組みがパナソニックによって開催されたのか、また、実施・参加した印象はどのようなものだったのか。
ワークショップ終了後、アプライアンス社の運営事務局の技術本部部長 R&D企画部 岡田浩一氏、カンパニー戦略本部 安藤順也氏と同 鈴木氏、それからワークショップに参加した海外マーケティング本部 秋元伸浩氏、冷蔵庫事業部 真鍋 馨氏に話を伺った。
「IDEATHON CHALLENGE KYOTO 2016」が終了しましたが、
どのような経緯で企画されたのですか?
岡田氏:現在のビジネスというのは、商品についてメーカー側で調査して、その調査に基づいて販売していくという形です。しかし、それだけでは限界があります。やはり今後はユーザーポジションの意見を聞いて、一緒に作っていくということもしていかないといけないと考えています。
調査して作るというのでは間に合わないと思うのです。むしろ、ユーザー自身が作ることに興味が持つようになっているので、逆にそういうことを取り込んでいかないといけないのではないかということで企画しました。
メーカー側が新しいものを提案し、それをお客様が購入するというモデルではなくなるということでしょうか?
岡田氏:そうですね。いままでは我々がプロだったんです。例えば、カメラなら、こういうカメラが絶対に欲しい、そして必要だと思っていたわけです。
しかし、今回のような新しいことをしてみると、我々はプロじゃないんだなと痛感してしまいます。もちろん、技術などは知っていますし、絶対に社員のほうが詳しい。でもユーザーのことを知らない。
いままでは調査したり、インタビューして意見を吸い上げていましたが、このようなサービスが欲しいという意見は、お客様からこのようなものを作ろうって言ってくれたほうがいい。そういう意味で、我々はわかってなかったなということを、今回たくさん発見しました。
お客様から学ぶということですね。
岡田氏:はい。例えばテレビなどは、我々はもう何十年も商売をしています。しかし、新しい事業や新しいサービスというのは、我々には知見がないわけです。だから逆に我々が学ぶ。そしてそれをきちんと認識しないといけないと思います。
メーカーが商品を売って終わり、ではなく、お客様の対応、消費の体験を積んでいくということです。
しかしきちんとマネタイズできないと難しいのではないでしょうか?
岡田氏:もちろんビジネスなので、経営幹部や株主などに、あらかじめどういうビジネスプランなのかを説明できないといけません。しかし、現場は売れると思っているのに(経営側は)そうは思わないという水掛け論になったりして、プラン自体がなくなってしまうということもあるわけです。
でも、担当者はその商品やサービスをよく知っているわけですよね。その点でいうとお客様もそうなんです。そして、ニーズがあったのに、プロが見逃していた。実際にやってみないとわからないということはあるわけで、ほんとに軽くやってみるというのも必要だと感じています。
今回の取り組みは経営幹部によく理解してもらっていて、どんどんやれと言われています。もちろん、コアの事業がちゃんできていないと、その周辺事業はできません。でも、新しいことは周辺で起きていて、それが新たにコアになっている。だからといって、周辺事業をコア事業と同じ規模で扱ってしまうとちょっと間違いだったりして難しいですね。
今回のワークショップでは8つの企画ができたわけですが、今後の展開はどのようになるのでしょうか?
岡田氏:今回、とてもいいアイデアが出てるので、そのアイデアをもっと精査してブラッシュアップしていって、最終的には商品にしたいですね。いかに早く商品として出していけるかが勝負だと思っています。スモールで発信してから広げるような形で。
Facebookなんかもそうですけど、最初からお金を儲けようと思って作ったわけではなく、ほかの学校の女学生と仲良くなりたくて作ったものですよね。そのようなことができないかと。
日本企業の悪いところは、そういう形で話をしているのに、後になってスピードが落ちることですね。なので、今日で出てきたものはきちんとやっていかないとと思っています。