7月1日に開始されたアップルの定額制音楽配信サービス「Apple Music」。「Napster Japan」にはじまり、なかなか日本では定着していないこの手のサービスだが、iTunesで音楽鑑賞のスタイルを大きく革新したアップルだけに、今度こそ成功するのではないかと期待されている。
本特集は、そんなApple Musicを含む音楽を、iPhoneで高音質で楽しむためのテクニックや製品を紹介していく。第1回ではApple Musicの基本的な仕組みについておさらいしておこう。
Apple Musicはロッシー圧縮
転送レートは最大256kbps程度
まずはApple Musicで配信される音源データの品質を確認してみた。データ形式はAACで、転送レートはWi-Fiや3G、LTE回線などによって自動で切り替わるようだが、もっとも転送レートが高くなるWi-Fi接続でも256kbps程度となっているようだ。
Apple Musicに限らないが、定額制配信サービスを利用するかどうかについて、一番に気になるのは上記の音質的なクオリティーだと思われる。
特に頻繁にCDを購入し、価格はさらに高めとなるハイレゾ音源を購入している人にとって、ロッシー(非可逆)圧縮は魅力が薄いのではないかというわけだ。実際、筆者はあまり興味がなかった。
CDが一定の売り上げをキープできているのは世界中でも日本だけというくらい、定額制音楽配信サービスについて日本は遅れている。というか音楽ソフトを流通させる形態がガラパゴス化している。
この理由として、無料ならばともかくお金を払うならばより品質の高いものを手に入れたいというものがあるだろう。同じAACでもiTunes Storeで今まで通り楽曲を購入すればAAC320kbpsの音源が手に入る。データが手元に残らないストリーミング配信(返却不要なレンタル利用に近い感覚)よりも、自分の手元にオリジナルデータを残したいという嗜好もあるだろう。
このあたりが、定額制音楽配信サービスが日本ではうまく普及しなかった理由のひとつと言えるだろう。
Apple Musicを利用するか否かの選択として、月に1000円以上(CD1枚以上)のお金を費やしている人ならばApple Musicの方がお得なイメージがあるが、それは音質の差を考慮していないので、実際はあまり意味がない。現実的に考えるならば、音質を取るか、膨大な楽曲数を取るかという点が判断の決め手になる。
Apple Musicには
日本のアイドル曲もアニメソングもない!!
数百万曲の膨大な楽曲を誇るApple Music。確かに楽曲の豊富さは大きな魅力と言える。だが、まだまだCDのセールスでビジネスが成立する日本では、ビジネスとして成立するかが不透明な定額制音楽配信サービスについて日本のレコード会社が積極的ではない印象がある。
要するにApple Musicには、日本のレコード会社が制作・発売している国内の楽曲が充実していない。例を上げれば、アイドルやアニメソングといったジャンルだ。これらを聴きたい、もっといえばそれらしか聴いていないという人にとっては、Apple Musicはあまり魅力がないサービスと言えるだろう。
このほか、CDのジャケットやブックレットに価値を見いだしている人も少なくないはず。これらの特典を定額制音楽配信サービスでは提供しにくいので、やはり魅力薄ということになる。
(次ページに続く、「使ってみてわかった!! Apple Musicは意外に使える」)
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