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オウンドとソーシャルをつなぐ「ソーシャルハブ」とは?

2015年08月17日 11時06分更新

文●小笠原悠香/日本サード・パーティ

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Facebookの「いいね!」を集めたり、Twitterで応募したりするキャンペーンだけでなく、最近はユーザーの投稿を集めてマーケティングに活用する事例が増えています。Twitterなどの情報を収集して表示するソーシャルハブツール「Wayin(ウェイイン)」の販売代理店、日本サード・パーティの小笠原悠香マーケティングマネージャーが、ソーシャルマーケティングの最新事情を紹介します。(編集部)

2014年のロック・フェスティバル「Summer Sonic」で、来場者がソーシャルメディアで共有した自撮り写真がステージ脇の巨大スクリーンにリアルタイムで表示され会場を沸かせました。

来場者がソーシャルメディアで共有した自撮り写真がステージ脇のスクリーンにリアルタイムで表示された2014年のSummer Sonic会場

スクリーンを見た来場者が、公式ハッシュタグをつけて写真を投稿し、スクリーンに次々と表示しながらソーシャルメディアで拡散。さらに、アーティストの舞台裏の投稿とともに公式Webサイトに表示し、ソーシャルメディアを利用した来場者参加型の企画は、オンライン・オフライン両面からイベントを盛り上げました。公式Twitterアカウントのフォロワー数は約2万600人、関連ツイート数は126%も増えました。今までは来場者が投稿した写真は投稿者のタイムラインのみで完結していましたが、公式Webサイトにまとめることで、サイトへの流入も増加したのです。

公式Webサイトにも投稿を表示した

投稿モチベーションを上げる「ソーシャルハブ」

イベントやブランド、キャンペーンに関連したソーシャルメディア上の投稿を、ハッシュタグやキーワードなどで集めたものを、ソーシャルキュレーションソーシャルハブといいます。

ソーシャルハブの仕組み

ハッシュタグの利用が盛んなアメリカでは、多くのイベントやスポーツチームがソーシャルハブを使った「ソーシャルページ」を作っています。企業がブランディングに利用したり、ファンとのコミュニケーションに活用したりしています。

自分の投稿が公式サイトや会場ディスプレイに載るのはファンにとって大きなモチベーションになるため、積極的でポジティブな投稿が集まります。消費者は、利用者の「生の声」を購買決定の際に参考にするので、ポジティブでリアルな投稿は、広告費をかけるよりも効果が高くなる場合があります。

他のユーザーの投稿を見て、投稿が増えていく

「ヨーグリーナ」の大成功

日本でも、数年前からFacebookの「いいね!」やTwitterのリツイートで応募するキャンペーンは盛んですが、昨年からハッシュタグとソーシャルハブを活用したキャンペーンが人気です。

最近話題になったキャンペーンとしては、サントリーの「ヨーグリーナ」の先行体験キャンペーンがあります。発売前にTwitterで先行体験希望者を募集し当選者にサンプリングを配布し、ハッシュタグをつけて飲んだ感想をツイートします。ソーシャルハブを掲載したキャンペーンページを見た消費者はポジティブなコメントに期待を高め、発売後には瞬く間に商品が売り切れました。消費者がサントリーの広告メッセージではなく、他の消費者のポジティブな声に影響された例です。

ヨーグリーナのソーシャルハブを活用したキャンペーン

日本で利用可能な3つのソーシャルハブ

ソーシャルハブを活用したキャンペーンを実施するのに使えるソーシャルハブを以下で3つ紹介します(アルファベット順)。どれも日本国内向けに利用可能です。

Shuttlerockhttps://www.shuttlerock.co.jp/

ニュージーランドのShuttlerock(シャトルロック)社のサービスで、日本では株式会社オプトが取り扱っています。Shuttlerockの特徴は集めた各投稿にシェアボタンが付いていること、ソーシャルアカウントを持っていないユーザーでもWebから直接投稿できること、購入ボタンをつけてECサイトへリンクを張れることです。また1つのアカウントで100ボードまで作成できるので、製品ごとにソーシャルハブを使い分けられます。日本語に対応しています。


事例:Lady Gaga、ハーゲンダッツジャパン、All Blacksなど

Tagboardhttps://tagboard.com/

アメリカでソーシャルハブの先駆けと言われているサービスで、One Directionのライブで使われたことでも話題になりました。1ボードを誰でも無料で作成できるので、試してみるのもよいでしょう。複数のビジュアルが用意されていることと、テレビ番組で表示できる仕組みにも力を入れていることが特徴です。日本語には未対応ですが、野球日本代表「侍ジャパン」の試合で導入されて話題になりました。


事例:BBC、Audi、Microsoftなど

Wayinhttp://www.wayinjp.com/

アメリカのWayin社のサービスで、著者が所属する日本サード・パーティが日本での代理店です。日本で展開しているソーシャルハブでは、唯一のTwitterおよびFacebookの認定サービスです。単純な投稿表示だけではなく、投稿数を使ったグラフやバトルなど多くのデザインが用意されていることと、インフルエンサーや関連キーワードの発見など、インサイト機能も備えているのが特徴です。日本語に対応しています。


事例:サントリー、サマーソニック、ANAなど

ソーシャルハブのメリットは、「ポジティブな生の声を集めて表示できること」です。ただし、投稿が集まらないと逆にキャンペーンが盛り上がっていない様子が見えてしまうので、より多くの投稿を集めるための企画や仕込みが重要です。サントリーの事例のように、消費者に投稿を強制するのではなく、応援コメントを投稿したくなるような準備が大切です。また、ソーシャルハブを表示するページ自体の集客力は弱いので、広告を使ってページへの誘導をかける必要があります。

ソーシャルメディアを活用した企画に発信力、まとまりが足りないと感じているマーケティング担当の方は、「ソーシャルハブ」を使って、ソーシャルメディアの盛り上がりをオウンドメディアに取り込んだり、ブランドへの関心が高いユーザーに、ブランドとのつながりを提供したりすることを検討してみてください。

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