このページの本文へ

見込み客を呼び込む「インバウンドマーケティング」とは

2014年05月14日 11時00分更新

文●夏目 力

  • この記事をはてなブックマークに追加
本文印刷

 1日の仕事を終え自宅に帰ると、ポストがチラシやDMであふれかえっていることがある。このような、チラシやDM、電話営業、TVコマーシャルなど、相手の状況を考慮せず網羅的にアプローチする従来型のマーケティング手法をアウトバウンドマーケティングと呼ぶ(Outbound=外側に向かう)。

 一方、「インバウンドマーケティング」とは良質なコンテンツを作り、SNS や検索エンジンを経由して見込み客を呼び込むマーケティング手法を指す(Inbound =内側に向かう)。チラシを送りつけるアウトバウンドマーケティングとは逆で、顧客自身に「見つけてもらう」ことがインバウンドマーケティングの大きな特徴だ。

 スポーツクラブを例に考えてみよう。Aさんが住む地区の周辺にはいくつものスポーツクラブがあり、入会を検討するAさんはGoogleでどんなスポーツクラブがあるのかを検索する。検索結果にはGoogleのアルゴリズムに基づき、よいコンテンツを定期的に配信しているWebサイトが表示され、Aさんは上位に表示されたスポーツクラブから検討を始める。Webサイトの運営者は、こうした検索エンジンやSNSで見つけてもらうための良質なコンテンツを制作するわけだ。

 インバウンドマーケティングには、Webサイトへの集客だけでなく、ユーザーを「教育」していく要素も含まれている。たとえばスポーツクラブで水泳教室をウリにする場合、従来型のマーケティングでは水泳に関心がない人にはアプローチできない。しかしSNSやブログで、他のスポーツに比べてダイエットに効果的な点や、健康に与える影響を教育していくことで、コンテンツを見た訪問者を見込み客に転換できる可能性がある。

インバウンド・マーケティングの概要

いくつかのプロセスを経て、サイト訪問者を顧客に変える

 インバウンドマーケティングは施策の実施費用が比較的かからないかわりに、効果が現れるまでに時間を要し、実施の途中であきらめてしまう企業も多い。コンテンツを蓄積し、ユーザーを呼び込めるようになるまで、最低でも6カ月〜1年は投資期間と考えて実行すべきだ。

 コンテンツを主軸としてきたインバウンドマーケティングだが、今後はサイト内におけるユーザーとの相互関係を重視した、コンテンツの積み重ねによってコミュニケーションを密にする施策が中心となる。アマゾンが実施している「あなたにおすすめの商品」といったパーソナライズした見せ方になっていくことが予想される。


著者:夏目 力

著者写真

リーディング&カンパニーCOO
ソーシャルメディアやWeb広告といった「ツール」を使った手法ではなく、Web全体を活用して自分達の価値観や物語を伝えていくマーケティングを推奨している。「1年半先を行くソーシャルメディア・マーケティング」は海外のWebのトレンドだけではなく、著者の経験をもとにした新しいライフスタイルや価値観を物語を通じて配信しており、Web業界問わず、多くの分野の経営者に人気がある。



この連載の記事

一覧へ

この記事の編集者は以下の記事をオススメしています