米Google研究所およびマサチューセッツ工科大(MIT)は8月4日、スマホで撮影するだけで手前にある邪魔な物体を自動で取り除くフォトレタッチ技術を発表した。
これはMITとGoogleが共同研究を行っている画像処理技術で、Siggraph 2015にて発表されたもの。しくみとしては、スマホを左右に動かしながら風景を撮影、手前にある物体は画面内では遠景とは異なる動きをするため、その輪郭を抽出、背景画像を用いその部分を埋めて修正するというもの。
しくみは単純ながら実際に動作している動画では、数秒間の撮影で窓ガラスに写り込んだ撮影者の服や、金網などが魔法のようにレタッチでなくなってしまう。もちろん複数枚の連写画像からの抽出なので、撮影済みの1枚の画像を修正することはできない。また、近くにある大きな物体は消去できない(背景画像が得られない)ほか、背景に動いているものがあると対応できない。とはいえ撮影画像にありがちな窓反射などを気軽に消してしまえるというのは面白い。
なお、MITの研究では、複数枚の写真画像を使わなくても窓の反射をレタッチするという技術も公開している。こちらは5月に発表されたもので、二重窓ガラスであれば2重の反射像となることに着目(1枚ガラスでも外側と内側で生じる2重像を利用可能)、1枚だけの撮影で反射像のみを抽出することができ、その像を元画像から引くことで反射像を相殺した映像を得ることができるという。こちらも反射像があまりに明るいと補正しきれないのは確かだが、写真のデジタル補正技術としては興味深い。