MM総研は、東京・白金のシェラトン都ホテル東京において、「MM総研大賞2015」の表彰式を行った。
今年のMM総研大賞は、ソフトバンク ロボティクスの「Pepper」が受賞した。
審査委員長を務めた安田浩氏は、「MM総研大賞は、時代の流れを見ながら決めていくものであり、今年は光の上でもっと新たなサービスができないかという動きや、映像の時代といわれる中で、音が重視されているといったものを捉えた。
また、2020年には東京オリンピック/パラリンピックを迎えると、海外から多くの人が訪れ、ナビゲーションの世界をどうするかが課題になる。そうしたものを実現するソリューションも大切である。さらに、仕事をするだけでなく、家庭の中で会話をするロボットも登場してきた。
そうした選ばれた製品、サービスの中から、大賞にPepperを選んだ。Pepperは、まだ数が少なく、普及という点ではこれからだが、方向を示したという点では、大きな成果がある。今年がロボット元年になるという点で、エポックメイキングなものになるだろう」と講評した。
“なんでもできそうな感じ”が、開発の上で大変だった
大賞を受賞したソフトバンク ロボティクスの蓮実一隆取締役は、「Pepperは、なんでもできそうな感じがするという点が、開発の上では大変であった。社内では、せめてビールを持ってこられるようにしないと売れないのではないかという議論もあった。
ところがある日、孫さんがこんなことを言い出した。『Pepperは海が見たい』と言い出すと、家族がPepperをクルマに乗せて海に連れて行くことになるだろう。海を見たPepperは、『これが海か』と言って喜ぶ。
この話を聞いたとき、とても感動した。何かができるということが価値ではない。その日を境に人と触れあって、和ませることに特化して、Pepperを作った。手はコミョュニケーションのためには必要であるから付けたが、足はコミュニケーションには不要なので付けなかった。
また、出会った人の99%が頭をなでるから、頭にセンサーを入れた。人とのコミュケーションの中で、予想外のことも起こっている。そこで得たデータは宝物である。人の大きさのロボットをいち早く作り、まずは第1歩を踏み出した。その第1歩に恥じない進化を遂げたい」と述べた。
MM総研大賞は、ICT分野の市場、産業の発展を促すきっかけになることを目的に、2004年に創設。優れたICT技術で積極的に新市場の開拓に取り組む企業を表彰しており、今回で12回目となる。
安田浩氏(東京大学名誉教授、東京電機大学特別専任教授)を審査委員長に、前川徹氏(コンピュータソフトウェア協会専務理事)、藤沢久美氏(シンクタンク・ソフィアバンク代表)、北村森氏(商品ジャーナリスト、サイバー大学客員教授)、横森忍氏(MM総研 研究部長)が委員として審査に参加。今回は、スマートソリューション部門6分野から、次世代スマート社会の核となる優秀な製品およびサービスを選定。分野ごとに「最優秀賞」を選んだほか、ICT産業で大きな話題になった製品およびサービスを「話題賞」として選出。また、ものづくり分野で代表的な商品を「ものづくり優秀賞」として表彰した。
大賞は、これらの中から、最もICT産業の発展に寄与した製品およびサービスを選び、表彰した。
スマートソリューション部門では、光回線サービス分野が、NTTドコモの「ドコモ光」、生体認証ソリューション分野が、NECの「NeoFace」、クラウド・アナリティクス分野では、日本IBMの「Watson Analytics」、ハイレゾオーディオ分野では、ソニーの「ハイレゾオーディオ対応商品群」、MVNOサービス分野では、ケイ・オプティコムの「mineo」と、KDDI バリューイネイブラーの「UQ mobile」、MVNE(Mobile Virtual Network Enabler)サービス分野ではインターネットイニシアティブの「モバイルパートナープログラム」がそれぞれ受賞した。
また、ものづくり優秀賞では、サムスン電子ジャパンの「Galaxy S6 edge」、NECの「Micro Modular Srever/相変化冷却ユニット」がそれぞれ受賞。話題賞では、ソフトバンク ロボティクスの「Pepper」、Uber Japanの「UBER」、富士通の「FUJITSU Mobile Initiative」、タカラトミーの「Robi jr.」(ロビジュニア)、Sansanの「Sansan/Eight」が選ばれた。
MM総研の代表取締役所長である中島洋氏は、「MM総研大賞は、優れた製品、サービスを発掘して、普及を応援する役割を目指し、12年間続けてきた。今年、大賞を受賞したPepperは、わずか1時間で、用意した1000台が売り切れるほどの人気ぶりであり、話題を呼んでいる。そのほかにも、人工知能を活用した分析ソリューションや、顔認証技術を商品化したもの、デジタル技術を高精細にしたものなどが選ばれている。いずれも、未来を期待させるものであり、最先端製品が揃った」などとした。