国立研究開発法人 産業技術総合研究所(産総研)は7月7日、カーボンナノチューブ(CNT)を集積することでアルミ電解コンデンサーと同等な性能を持ちつつ大幅に小型化できるキャパシターを開発したと発表した。
各電極のイオン電荷で電気を蓄えるキャパシターはコンデンサーと同様に急速に電気を蓄えることができ、電子部品としては整流素子として利用されているほか、蓄電装置としても利用できる。産総研では、単層CNTをキャパシターの電極に用いることで、従来の材料をしのぐ高エネルギー密度・高パワー密度を実現する研究を進めてきた。
新たに開発したキャパシターは、シリコン基板上にCNT膜をリソグラフィーによって微細加工、集積した電極を直列で接続して電解質を封入した。マイクロキャパシター単体では1Vの充放電が可能だが、8×10mmの基板上に100個を直列接続することで100Vでの動作を実現。さらに4インチシリコンウエハー上に4700個の集積化も実現した。
電子機器に利用されるアルミ電解コンデンサーに比べ、同等の性能を持つものならば体積は1/1000で実現できるほか、他のコンデンサー、従来型キャパシター、化学電池に比べても高エネルギー密度・高パワー密度という特長を兼ね備え、高性能なエネルギーデバイスとしての可能性を持つという。産総研では、半導体メーカーなどへニーズ調査し、共同で開発を進めるなどして実用化を進めるとしている。